「多様性を受入れる方法」は「多様性を理解すること」ではない
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「多様性を受入れる方法」は「多様性を理解すること」ではない
「多様性を受入れる方法」と「多様性の理解」は別物です。
「多様性を受入れる方法」と言えば、以下が挙がりがちです。
- 多様な考えや文化を理解する
- 積極的に相手とコミュニケーションを取る
- 自分の意見を伝える
しかし、これらの行動は、「多様性を受入れる方法」ではなく、「多様性を受入れている人が自然に取っている行動」です。
「多様性の受入れ」には、2パターンある
- 充分養われた受容力のもとで受入れる場合
- 無理やり受入れる場合
単に多様性を受入れられれば良いのか?
多様性を受入れること自体が目標であれば、受容力を高めることを省略しても間違っていません。しかし、一過性のスキルとして多様性の受入れを身につけても、本人にとっては苦しいでしょう。
受容力を高めることを省略し、多様性を受入れる行動が取れれば充分だと思うことは、たとえるなら、野球のスキルも体力も未習得な状態で、とりあえずユニフォームとキャッチャーミットを身につけ、プロ選手の剛速球をキャッチしているような状態です。
その人がたまたま野球のセンスがあれば、その場は何とかやり過ごせるでしょうが、怪我をしても不思議ではありません。一か八かです。
多様性の受け入れの必要性
多様性の受け入れが必要な理由は、多様な人々と良質なコミュニケーションを取り、相互理解とより良い価値創造へ繋げるためだと思います。
- 良質なコミュニケーション
- 相互理解
- より良い価値創造
良質なコミュニケーション、相互理解(異文化理解)に必要なものとして、以下が挙がりがちです。
- 異文化知識・情報・理解
- コミュニケーション力
しかし、これらが豊富でなくても、良質なコミュニケーションを取る場合があります。これらが豊富で、英語がペラペラでも、良質なコミュニケーションに繋がらない場合もあります。
日本人が見落としがちな「自分軸」
良質なコミュニケーションは、自分軸と自分軸の交わりです。良質な異文化コミュニケーションに必須とも言える自分軸は、日本人が見落としがちなものです。
比較的、日本人が得意ではない分野ですが、自分軸のはかなさによって、世界中では日本人が関わる数多くのミスコミュニケーションが発生していると思います。
しかし、「自分軸のはかなさ」自体に関心がなければ、日本人は問題意識をもちません。「良く分からないけど、○○人とはコミュニケーション取りにくいなぁ・・・」程度で終わってしまいます。
そうではなく、はかない自分軸のせいで、コミュニケーションの輪の中で「場外」に位置づけられてしまったのです。(ただし、日本人にはその他に素晴らしい点が多くあります!!!)
結論
- 無理やり多様性を理解し受入れても持続性はなく、受容力を養う効果は期待できないどころか、逆効果を生む場合もある
- 多様性を受入れた行動を持続的に自然と取れるためには、受容力を高める以外にない
多様性の受容力を高める方法
◇多様性の受容力を高める方法
受容力を高める方法は、ひたすら異文化理解・コミュニケーションを繰り返すことではありません。効果を生む場合はありますが、野球同様、一か八かです。
本人のことを大切に思い、一過性ではなく持続成長する受容力を得るためには、以下のStepをお薦めします。
Step1. 自己理解
Step2. 自己承認
Step3. 多様性を受け入る行動を取る(コミュニケーションや異文化理解)
- 多様性の受容力を高めるための行動は、多様性を理解することでは必ずしもない
- 受容力が未習得の段階では、正しい自己理解と自己承認が必要
- 正しい自己理解のために、主体=本当の自分を知ることと、自文化理解が必要であり、作業は至ってシンプル
- 多様性を受け入れる行動は、Step1&2と平行して
- 高まりつつある受容力を確かなものにする段階で、多様性を受け入れる行動を通した経験をする
グローバル人材教育において、主体性の確立・自己承認・自文化理解を飛び越えて、多様性の理解・異文化コミュニケーションを学ぶことはありません。一過性のスキルではなく、持続成長へ繋がる基盤形成が何より大切だからです。
以下記事では、多様性の受容力を高める教育を解説しています。
「多様性の理解と受容」教育完全手引き
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