多様性の受け入れは「日本人による日本人の理解」から/民俗学の視点
本記事では、以下の疑問を解決します。
- 多様性の受入れに必要な学び/教育とは?
- 自文化理解におけるポイントとは?
多様性の受入れに飛びつかない
グローバル人材教育で、多様性Diversityの受入れ教育は、必ず、主体性の確立と自文化理解を深めた後で行います。
それは、多様性の理解と受容は、良質な異文化コミュニケーションを通した活動の質を高めるために必要だからです。
その良質な異文化コミュニケーションとは、自分軸と自分軸の交わりから生まれます。
自分軸とは、主体性・自己承認・ビジョン意識までを含めます。
ですから、多様性の前に、主体性の確立と自文化理解がどうしても必要になります。
自文化理解
自文化理解とは、日本の歴史や価値感を改めて確認しながら、良い面とそうでない面の両方を認識することから始まります。
日本の素晴らしさ
日本には素晴らしい価値感があり、日本人の数々の特徴は、グローバル教育講師から見ると、とても誇らしく、敬意を払うべきものに感じます。
改めて日本の特徴を知ることは、多くの人にとって、日本人であることへの誇りと、日本という社会を作った全ての先人たちへの感謝の気持ちを自然と抱くものです。
多様な時代で、
日本人は、自分たちの何を活かすべきなのか?
日本人のどのような特徴を活かせばより良い社会作りに繋がるのか?
この点を、日本人自身が自覚できていることは非常に大切なことです。
課題を自覚する大切さ
一方、日本の課題を認識することも大切です。
国際的な発信をする上で、自分たちがどのような特徴をもった人間なのかを自覚しているかというのは、想像以上に発信の効果を左右します。
たとえば、自分が考えた企画をプレゼンする際、
- 自分の素晴らしい企画はきっと世の中を変える!と強い意気込みをもつ
とは言え、
- 実現する上で立ちはだかる課題を、多くの人は「困難」と思うが、自分は「やり甲斐」と捉える特殊さがあること
- 自分は早口で説明する癖があること
などを自覚した上で話すことで、聞き手への伝わり具合は大きく変わるのは言うまでもありません。
日本の課題を民俗学から知る
日本の課題は、いくつかありますが、中でも、民俗学の視点から、歴史から見る日本人の行動・思考パターンを知ることは、効果があります。
民俗学の柳田国男先生によると、
「日本人には、人を不幸にする原因が社会にある、誰に責任があるのかという点を突きつめないところがある」
とあります。
同じく民俗学者の新谷尚紀先生による分析では、
- 背景として考えられるのは、2000年以上続いてきた稲作文化
- 田植えや収穫祭などの行事、水利施設の管理などはいずれも稲作を続けるための共同作業
- これを支えた発想や行動パターンは、近代に入っても、容易には変わらない
- だから、今も和を重んじ付和雷同する
と仰っています。
「共同作業」「和を重んじる」というのは、稲作文化・五人組・村八分など、様々な歴史から影響を受けていると思います。
これによって現代の日本人の思考・言動に、具体的にどのような影響を生んでいるのか?を知ることは、楽しいことです。
以前とあるセミナーで、「自分の意見を曖昧に誤魔化す」という日本人のマイナス特徴に対して高い問題意識を持った受講者さんがいらっしゃいました。
しかし、同じ特徴がどのような素晴らしい効果を生み出していたのかを理解した時、その受講者さんの意識が変わりました。
マイナス面を排除すべき!日本人は変わるべき!という意識から、
今まで見えていなかった日本人の素晴らしさをまずは存分に認識したい!その上で進化を目指したい!という意識へと。
付和雷同、原因を追及せず「まぁいいか」と受け流す所は、日本人が今後克服していくと良いことです。
しかし、これらの特徴が生み出す素晴らしい点もしっかりと自覚し、誇りに思って良いでしょう。
自文化理解は自己承認あって生きる
「誇りをもちながら、課題を自覚すること」は、日本人にとっては大切なポイントです。
同じ「異文化理解教育」を行っても、受講者が外国人か、日本人かによって内容もアプローチも変わります。
日本人が自分たちの良さを最大限に発揮するためには、誇りとビジョン意識が欠かせません。
日本人のもうひとつの課題
日本人には、自己承認力が低く、幸福度が低いという、もうひとつの特徴があります。
(自己承認力とは、自己肯定感・自己効力感・自己愛をまとめて伝えている言葉です)
ここを大切にしながら日本人の課題を克服していくとう意識を持てるアプローチが、効果的な教育だと実感しています。
以下記事で詳しく記しています。
新谷尚紀先生
「学問を通じて得た知識は、現実を変えるために使っていくべき。日本の、日本人の良い点、悪い点、すべてを知った上で、体質を改善していく。いきなりは無理なので、教育を通じて一歩一歩、地道に取り組むしかない」
I definitely agree with that!!
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