人材の価値、開示へ/政府が企業に育成促す【持続発展を支える教育とは】

開示が求められる

政府は企業の「人的資本」に関する情報開示指針をつくり、従業員の多様性や教育について、日本でも企業による開示が求められます。働き手の能力や知識は資本と捉えられ、競争力や企業価値を左右する要素として投資家の関心が高いようです。欧米では先行しており、開示をテコに企業の人材戦略の強化を後押します。

真に人材の価値を高める取組み・教育とは、どのようなものなのでしょうか?それは、企業の認識と合致しているのでしょうか?

評価基準は企業の成長を促す重要な位置づけにありますが、「どのような評価基準になるのか・・・?」というお伺い姿勢ではなく「この取組み・この教育が、自社にとっても、社会にとっても、持続的な発展を可能にするため○○を行っている」という主体的な企業姿勢が何より重要になります。

 

多様性の活用

開示内容には、当然ながら、企業の多様性も含まれます。しかし、多くの多様性に富んでいることだけを評価対象とすることは、本末転倒になりかねません。

多様性を活用し、企業価値を高め、顧客や社会への貢献を企業の存在意義とするならば、「多様性の豊富さ」だけではなく、

  • 多様性の受容風土
  • 多様性の活用意識
  • ビジョンの質と浸透度

ここまでを開示対象とすることができれば、組織の力を高めるキッカケになると思います。

 

多様性の受容力を高めるための教育については、以下記事をご覧ください。

 

外国人従業員教育

外国人従業員教育では、何卒、外国人の教育が最重要と捉えられることのないよう、願っています。組織がすべき準備、日本人従業員が得るべき気づき、からの、外国人教育、という順番で教育を行う企業が増えますように。

真に評価されるべき状態とは、外国人従業員への教育が豊富であることではなく、「誰と接しても育つ」という日本人従業員の安定感と、それを支える組織の基盤です。そこを踏まえた取組みが評価されることが大切です。

私共が関わらせて頂いた多国籍企業では、外国人従業員教育の数は多くありません。それは、外国人を受入れるための日本人従業員教育が充実していることによって、強い組織体質ができたからです。スキル習得以外では、教育によって社員を育てるという固定観念は崩れています。

教育の数・種類・参加率だけで企業の価値を判断することのないよう、本質的な企業成長を促す評価基準が設定されることを願っています。

 

 

ハラスメント防止策

ハラスメント防止策も問われます。目先効果を生む対策に留まることなく、持続可能な効果を生む教育が求めます。求められるべきです。たとえ求められなくても、踏み込んだ対策・教育を行う企業姿勢が大切です。

厚労省は、パワハラ防止措置のためには管理者層を中心に職階別に分けて研修を実施することが効果的であるとしているので、企業は積極的に研修、講習を実施すべきでしょう。「そんなことより利益上げろ」というベテラン社員は、どの会社にもいるものですし、パワハラ予備軍です。放置するのか、それでも手を打つのか、それは自由選択ですが、個別セッションを行う等、個別対応も良いでしょう。

ハラスメント行為者が抱える根本原因の解消を「踏み込めない領域」と位置づけるのではなく、「生産性向上には欠かせない、いち業務」と捉えることが求められます。そして、苦痛を伴う取組みだと敬遠するのも理解できますが、そこには誤解があるかもしれません。

評価基準は、パワハラ撲滅への根本アプローチを取り上げ、企業体質強化の本気度を見て欲しいと願っています。

 

パワハラがなくならない真の原因について、以下記事で触れています。

 

社員の幸福度向上

恐らく、社員幸福度の向上も、日本企業は積極的に取り組むよう求められるでしょう。生産性を高めるために必要な、いち業務だからです。

社員の不満の芽を解消し、幸福を感じるキッカケを提供し、それで取組みを終えるのではなく、持続可能な発展を踏まえた根本的な教育を行う企業が増えることが期待されます。

世界と比較され、低いと有名な日本人の幸福度・自己肯定感・自己効力感。これらにアプローチをせずに米国やEUの評価基準を参考にすることは危険です。日本人に無理をさせ、良さを潰しかねません。日本人が良さを活かせば社会の未来は明るいはずです。

ですから、日本人のマインド基盤に真摯に向き合い、日本人に最適な取組みを促す評価基準が求められますが、評価基準がどうあれ、ここを避けて通る先延ばしは控えた方が良いでしょう。自社の持続的な発展を考えるならば。

 

社員の幸福度が影響する生産性と対策については、以下記事で触れています。

 

会社ビジョン・パーパスの見直し

人材の価値は、組織の在り方が反映されます。組織の在り方を確かな価値にするには、ビジョンの質を見直すことが求められます。ここに行き着く流れは避けられません。なぜなら、投資家はビジョンの質と浸透度を重要視しています。また、優秀な若者は、質の良いビジョンを掲げ働く大人や組織の姿を見分けており、それを基準として歩む先を決めるからです。投資も、優秀な若者も、集う先は同じです。

評価項目が、「ビジョンがあるか?yes or no」などという表面的なレベルに留まることは考えにくい、あってはならないと思います。また、アメリカなどをビジョン先進国として参考にするのではなく、日本人によるビジョン意識を定めているかどうか、ここをしっかりと見抜くような評価基準が求められます。

ただ、評価基準がどうあれ、ここにアプローチする真剣度が、この先の発展を左右すると思っているのは、グローバル人材教育関係者だけではないでしょう。

 

  • 会社ビジョンの質が、持続可能な発展を可能にするものなのかどうか
  • 従業員のビジョン意識に任せすぎている経営陣の思い込みがないか
  • ビジョンが機能するための経営陣と従業員の意識は整っているか

 

これらは、意外と、組織の中で盲点になっていると感じます。ビジョンが機能する時の条件について、以下記事で触れています。

 

企業価値を高めるための従業員教育

人材の価値は、従業員教育を「コスト」と捉える発想で高めることは難しいです。そして、目先の効果を求める意識が強い人材が教育を企画すれば、これもまた、人材の価値を高めることも無理です。

 

以下記事をご覧ください。

 

 

海外の動き

海外の動きを見てみます。そもそも、人的価値の開示の背景には、投資家の要請の高まりがあります。世界の主要年金や資産運用会社が加盟する国際コーポレート・ガバナンス・ネットワーク(ICGN)は、測定できる目標などを明確にした人的資本管理方針を出すべきだとしています。

EUは22年10月にも人的資本を含めたESG(環境・社会・企業統治)の情報開示ルールを策定し、対象を日本など海外企業の欧州拠点も含め約5万社と従来の4倍に広げます。自社だけでなく取引先の従業員まで含めた開示を求めます

米国も具体的な開示手法の義務化が必要との見方から、開示ルール改正し、退職率やスキル・研修、報酬・福利厚生などを検討しています。

シュローダーは投資先企業の評価で、従業員の給与水準や従業員教育のコスト、事故件数、従業員満足度や離職率などを考慮します。

 

投資家は、「企業が本質的な体質強化」に辿り着くまで、どこまでも追いかけます。評価水準が上がり、開示範囲が増え、「それに促され追いつくスタンス」なのか、それとも、「自分たちが必要だと信じているから、最初から持続可能な開発のための取組みを行っていました」なのか、どちらに投資・優秀な人材は流れやすいのか、社員はどうありたいのか、会社は何を見据えているのか。

 

投資家の視点

世の中の流れを作る投資家は、何を重視しているのでしょうか?

もちろん、投資家が敷いたレールを歩くのではありません。今、投資家が求めているものが何なのかを知り、これからどうなっていくのかを予想し、理念に照らし合わせ動き方を決める、ということです。

以下記事では、投資家が今後益々重視するであろうポイントを挙げています。

 

反対派は必ずいる

色々と挙げましたが、現実はそう簡単ではなく、変化や改革を快く思わない従業員は大勢いるでしょう。それは、どの会社も、どの国でも同じです。

経験豊富な方々は「無茶だ馬鹿げてる」と言い、「まだ彼は分かっていないんでしょう、世の中のこと」と背を向け、「本気なの?私は力になれないけどいいの?」と脅し引き留める。

そのような、世の中の大変さを何十年も経験し、屈辱を噛み殺し、冷静に努めてきた方々の勤勉さによって、この社会は築かれました。その苦労を他人が理解することはできません。

そのような方々は「反対派」ではなく、「心配派」です。そして、「反対勢力」ではなく、時期が来れば「経験豊富な最強の協力者」になるでしょう。するのです。

 

今後、本質を重視した投資家の存在も、世の中からの要求も、益々増えるでしょう。なぜなら、持続可能な発展性が重要視され始めた以上、世界の投資文化も世論を導く正論も、そこへ行き着くしか道がないからです。

人材の価値開示が、企業や従業員を苦しめるのではなく、社会の発展へ繋がることを願います。

 

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