創造性「お金のために働くと下がる」クリエイティビティ/内発的動機づけ

持続的に成果を出すグローバル人材は、持っている力を最大限に発揮することが必要です。そこで求められる要素の一つがビジョン意識です。ビジョン=叶えたい理想の情景を、どのように抱いているかという部分です。

どのようにビジョンを抱けば、力が最も湧くのか、つまり、創造性・クリエイティビティが最も高まるのか?について考えてみます。

ビジョン意識の種類

創造性「お金のために働くと下がる」クリエイティビティ/内発的動機づけ

グローバル人材に欠かせないビジョン意識には、2つの種類があります。

  1. 「自分のこと」自分の目標や願望を叶えることをビジョンと位置づける
  2. 「他人のこと」自分以外の人や世の中の発展や幸福が叶うことをビジョンと位置づける

 

1は、お金を沢山稼ぐ!昇進する!有名になる!海外で活躍する!というような、自分の目標・願望を実現するために頑張る状態です。自分の目標が叶うことを考えるとモチベーションが高まります。

一方の2は、地球環境が良くなる!✖✖で苦しむ人が社会から消える!子供たちが○○して目を輝かせている!★★が行き交う世の中!というような、他者や世の中の幸せを実現するために自分は活動しているという状態です。より良い社会作りなどが実現していくこと自体でモチベーションが高まります。

ビジョンに良し悪しはなく、全てのビジョンが尊重されるべきものですが、グローバル人材教育では後者による視点でビジョンを高く設定することをまず薦めています。その上で、自分の目標も設定する、という順番です。

理由は、他者の幸福の実現を思い浮かべながら自分の能力を活かす時、人は最もブレずに力を発揮することができると思うからです(ビジョンからの逆算行動)。決して、「人のために生きている」ということではなく、結局は「自分のため」なのですが、その時に湧き出てくる力は、自分の目標を叶えるために動いている時の何倍も大きいでしょう。

お金のために働くと創造性が低下

お金のために働くと創造性が低下

人が働く上での動機づけなど、他人がどうこう言うことではありません。自由に働けば良いというのが大前提です。

その上で、東京大学准教授・稲水伸行先生の記事に紹介されていた、興味深い研究結果をご紹介します。

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米ハーバード大学のテレサ・アマビール教授の実験研究では、まず72人の創造的な作家に、「雪」をテーマに短い詩を書いてもらい、その後にアンケートで「なぜ自分が作品を書くのか」を回答してもらいました。

アンケートでは、あるグループ(A)には「1冊ベストセラーになれば経済的に保障されると聞いたことがあるから」といった選択肢、別のグループ(B)には「自己表現の機会を享受できるから」といった選択肢を並べました。そして、アンケート終了後に「笑い」をテーマにした短い詩を書いてもらいました。

この実験の結果、アンケート前の「雪」にクリエイティビティーの差はありませんでしたが、「笑い」についてはBの方がAより高くなりました。つまり、金銭的なインセンティブをイメージするだけで、クリエイティビティーが低下してしまったのです。

行為そのものが面白くて内発的に動機づけられていたのに、報酬をもらえるようになると、そのために行為をする、つまり外発的な動機づけに切り替わってしまったのです。

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外部から何かを得ること(お金・評価・地位・注目など)を活動の目的とすることが、本人の創造性を高めることはありますが、自分の内面から湧き出る動機(作業自体が楽しいから・能力を活かせているからなど)を活動の目的とした方が、創造性は高まる=成果は出やすいということが言えると思います。

つまり、組織創り・人材マネジメントにおいては、安易に評価や報酬を与えて創造性を高めようとするのは危険な考え方かもしれない、ということです。

他者の幸福実現は内発的動機づけになるのか

他者の幸福実現は内発的動機づけになるのか

自己表現する楽しさ、得意を活かすワクワク、成長する喜び、このようなものが内発的動機づけとして挙げられるでしょう。

米ロチェスター大学のエドワード・デシ教授によれば、「見た目には何の報酬もないのに、その人がその行為そのものから喜びや満足を引き出し、その行為に従事している状態」のことを、内発的に動機づけられていると言うそうです。「仕事に熱中して時がたつのも忘れた」というような状態のことです。

 

では、他者や世の中の幸福を願う気持ちは、果たして内発的動機づけになるのか?という疑問ですが、答えは、なります。

他者の幸福実現によってお金や評価など外部から得られるメリットを享受する自分を叶えようと思うことは、結局は外発的な動機づけと同じですが、「この仕事で○○の人たちが救われている/幸せになっている情景=vision」を思うと力が湧いてくるような場合は、内発的動機づけです。

「自分の願望が叶うからやる気が出るんだよ」というタイプもいれば、「寝ても覚めても○○な人/環境/世の中の子供/○○な社会などの実現のことばかり考え、気づけばあっという間に時間が経つ」というタイプもいます。

「自分が稼ぐために仕事をしているけど、気づけばいつも没頭しているよ」という場合は、無意識のうちに、「仕事内容が楽しい」「クライアントの幸福」など、内発的動機づけによって動いているということなのでしょう。仕事に集中しているので、その人はお金を得ているのでしょうが、その人を突き動かしてるものは、お金より内発的動機づけの方が勝っており、そのことに本人は無自覚、ということです。

自分が何かを得られるから力が湧いてくる人ばかりではありません。何も得られなくても力が湧いてくる人もいて、それが内発的動機づけです。そして、内発的動機づけで活動する時の方が、人の創造性は高まるということです。

内発的動機づけはどう生まれるのか

内発的動機づけはどう生まれるのか

では、自分の中のやる気を内発的動機づけへ変換して力をパワーアップし、創造性を高め、成果を出しやすくするには、どうすれば良いのでしょうか?

それは、主体性の確立と、それに続く、ビジョンの正しい設定と意識づけです。これをすっ飛ばして、内発的動機づけが得られる方法はどこにもありません。これは、精神論ではなく、創造性を高めるための方法論であり、阿吽の呼吸が通じず多様性に富んだ環境で持続的・安定的に成果を出している人たちにとっての当たり前かもしれません。

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