社員の幸福度の上げ方【心の資本・内面性・主体性・持続性】

本記事では、以下のような疑問を解決します。

  • 社員の幸福度が低い理由
  • 社員の幸福度の上げ方とは

 

記事を書いている私は、グローバル人材教育 コンサルタントです。

  • 20年以上グローバル人材マネジメント・育成・採用を経験
  • 現在は、企業・学校・自治体にてグローバル人材・組織教育
  • グローバル組織創り教育は東京都公共事業に採用

 

日本企業の社員幸福度

社員の幸福度の上げ方【心の資本・内面性・主体性・持続性】

 

日本のビジネスパーソンの幸福度は、世界と比較すると最低レベルです。

世論調査や人材コンサルティングを手掛ける米ギャラップが世界各国の企業を対象に実施した従業員のエンゲージメント(仕事への熱意度)調査によると、以下のことが分かりました。

熱意を持って仕事をする社員5%

日本    5%

アメリカ 30%超

北欧諸国 20%前後

※参考:米ギャラップ2021年調査

 

やる気のない社員70%

  • 日本は「熱意あふれる社員」の割合が5%しかない(2021年調査)
  • 米国の32%と比べて大幅に低く、調査した139カ国中132位と最下位クラス(2017年調査)
  • 企業内に諸問題を生む「周囲に不満をまき散らしている無気力な社員」の割合は24%
  • 「やる気のない社員」は70%に達した

 

幸福度が低い社員の実態

幸福感が低い社員によって、非生産的な組織が築かれます。たとえば、

 

幸福感が低い社員の行動・思考特徴

企業内に諸問題を生む「周囲に不満をまき散らしている無気力な社員」の割合は24%という結果がありますが、その、無気力な社員の具体的な行動・思考特徴として、以下のようなものがあります。

これは、実際に様々な企業・学校で挙がった「活躍していないと思う人の特徴」をまとめたものです。

残念ながら、日本のビジネスパーソンの多くは右欄の特徴を持つ人と共に仕事をした経験があります。

 幸福度高く活躍する社員の特徴そうでない社員の特徴
1.仕事自分の能力や魅力を活かした仕事をして

やり甲斐を感じている

惰性で仕事をしており

やり甲斐を感じていない

2.成果やり甲斐を感じて働くことが楽しいので

目標に近づき易く、成果を出しやすい

楽しいと感じることなく働いており

特に目標も成果もない

3.周囲からの評価「あの人は欠かせない」「あの人と働きたい」

「またあの人に仕事を依頼したい」

「仕事がやりにくい」「不愉快になる」

自由に意見を言えない雰囲気を作っている

4.人間関係周囲の人を幸せにし、成長させる存在

「あの人のお陰で笑顔になれた」と言われる存在

「できればあまり関わりたくない」と

周囲から敬遠される存在

5.コミュニケーション日本人、外国人問わず、心を通わす

コミュニケーションを楽しみながら取っている

限られた、話の合う仲間とだけ

コミュニケーションを取っている

6.気持ち仕事や人と関わることが楽しい!感謝!

生きることが楽しいと毎日感じる!

働いたり人と関わることは楽しくない

訳ではないが、幸せを感じるほどではない

7.視点どうすれば世界の人々が今より幸せになるかどうすれば自分が幸せになるか
8.試練うまくいかないことが起こっても成長するための

機会だと捉え、前向きに乗り越えることで、

成長が止まらないサイクルにはまる

うまくいかないことが起こると

周りの人や環境のせいにする

自分の不運を嘆き、負のサイクルにはまる

9.口癖「ありがとう!」「手伝おうか?」「大丈夫?」

「楽しい!」「嬉しい!」「本当に幸せ!」

「なんで自分ばっかり」「面倒くさい」

「何かいいことないかな」「はーあ」

10.話題人の幸せ、自分の成長、更なる成果に繋がる

明るい話題の会話をし、益々元気になる

自分の不運を嘆き、傷を舐め合う仲間と

人の悪口を言って元気になる

11.生きがい自分の存在が人のためになっている時、

周囲の人々の笑顔が見られた時に感じる

自分の利益になることが起こった時、

自分の欲求が叶った時に感じる

12.見た目目の輝き、イキイキとした表情、

言葉では言い表せない魅力/オーラがある

暗い表情、不幸せそう、眉間にシワ、

言葉では言い表せない近寄りにくさがある

13.心心が豊か、安定、広い、温かい心がギスギス、不安定、狭い、冷たい

 

 

企業が取る対策例

社員の幸福度を上げるためと、不満の芽を解消するために、企業は以下のような対策を取ります。

  • ワークライフバランスの充実
  • 社員同士プラスの声掛けを増やす
  • ビジョン・目標の設定や共有
  • 研修・セミナーを充実させる
  • 報酬を上げる
  • 成果の見える化
  • 社員同士の交流の場を設ける
  • 社員の家族サービス
  • 人事評価制度の見直し
  • 面談の充実
  • 社員の健康維持・管理
  • ストレス発散・レジャー
  • パワハラ防止対策
  • 相談窓口設置

 

これらのサポートによって、多くのビジネスパーソンが幸福を感じることは間違いありません。

しかし、忘れてはいけないことは、上記のような取組みは、幸福度が高まるキッカケにはなりますが、幸福度を下げる原因の根本的な解決にはなっていない点です。

 

上記のような取組みのお陰で持続的に幸福度を高く保持できる社員は、もともとの幸福度が低くはないと思います。

 

一方、取組みのお陰で一時上がった幸福度をそのまま維持出来ない社員は、幸福度を下げる原因を解消しない限り、形を変え不幸を見出します

 

両者の違いは、以下の内面的なものです。

  • 物事を幸せ・成長・やり甲斐などへ繋げる仕組み
  • 物事を不幸・不満・疲れへ繋げる仕組み

 

ですから、同じ会社・同じ部署で働いていても、幸福度を自ら高めながら働く人と、不満を抱え働く人がいるのでしょう。

 

物事を不幸へ繋げる内面的な特徴をもつ社員が、組織風土を整え、前向きな社員の士気を高めることは、まずありません。

つまり、社員の幸福度を高めるための取組みは出来る限り行いながら、物事を不幸へ繋げない内面的な仕組み作りも同時に必要ということです。

 

日本人の幸福度が低い内面的な理由

 

日本人の幸福度が低い背景には、教育制度、職場環境、戦後の物質的発展など様々な原因が挙げられます。

グローバル人材教育を行う立場から言えば、大きな理由は、以下3つです。

  1. 心配性遺伝子(もともとだから仕方がない)
  2. 自己承認不足(自己肯定感が低い)
  3. 他者受容力の低さ(日本人の異文化理解度は低い)

 

1.心配性遺伝子

気にしても仕方ない部分があります。

日本人はセロトニントランスポーターSS型という「心配性の遺伝子」が多いのが特徴です。

日本人全体の68.2%を占めます。アメリカ人のSS型は全体の18.8%です。

 

多国籍従業員と働く人は感じるでしょうが、「日本人は心配ベースで生きている」ように見えます。

それによって、丁寧な業務、低い犯罪率、規律・秩序などが守られ安心して暮らせるなど、良いことを挙げれば枚挙に暇がありません。

ここはむしろ日本人であることに誇りを持ち、プラスに受入れれば良いと思います!

 

2. 自己承認不足=自己肯定感が低い

人が幸福感を感じられない時とは、思い通りに事が運ばない時です。

たとえば、

  • 自分の思い通りに事が進まない時
  • 相手の行為や起った事象を受入れられない
  • 自分の欲が満たされない時(承認欲求/優位に立ちたい欲/自己証明欲など)

 

裏を返せば、以下のような場合は、思い通りに事が進まないことは、何らマイナスにも見えないということです。

 

自己承認とは、自分のことを良いも悪いもありのまま受入れ認め、大切に扱い、可能性を信じていることです。

 

同じ事が起こっても、人によっては落ち着いて、むしろ前向きに事態を受入れ、生産的な行動を取ります。

つまり、起こった出来事を「不幸へ繋げる仕組み」に原因があるということです。

 

そして、その「起こった出来事を不幸へ繋げる仕組み」が、以下3点です。

  1. 自己承認不足=自己肯定感の低さ
  2. 自己承認不足から生まれる他者承認力の低さ
  3. 自己承認不足から生まれるビジョン意識の低さ

 

日本では、自己肯定感の低さを「幼少期の影響によるもの」と片付ける風潮があります。

ですから、日本の親には、幸福度が高い北欧の子育てや教育を紹介する本が人気です。

これが、日本人の自己肯定感の低さを、「日本の子育て・日本の教育が原因」として諦められてしまう結果になっていると感じます。

 

しかし、自己肯定感・自己承認力は、思考習慣によって得られるものです。

ですから、主体性を引き出し自己肯定・自己承認するための教育を、学校関係者は取り入れるのです。

教育によって、自己肯定感が引き出されるからです。

「幼少期が過ぎたから」「日本に生まれてしまったから」などと諦めることでは、全くないということです。

 

ちなみに、上記3要素の欠如は、幸福度を下げるだけではなく、各種ハラスメントを引き起こす原因と同じです。

 

3.他者承認力の低さ

幸福度の低さには、自己承認不足から生まれる他者承認力の低さも原因しています。

人は、自分をありのまま認め、大切に扱い、可能性を信じているから、他者にも同様の価値があると理解します。

たとえば、上司自身が充分に自己承認している場合は、人を育てる上で欠かせない他者承認力が自然と身についているので、部下は育ちやすいです。

自己承認方法と他者承認力によって生まれる上司の行動については、以下記事で解説しています。

 

社員の気持ちに踏み入るのか

さて、ここで生まれる戸惑いが「社員の気持ちに踏み入るのはどうなのか」です。

「暗黙の」「阿吽の」で回るハイコンテクスト社会でもあり、調和を重視する日本では、「そこまで言わなくても・・・」と、手つかずの領域が「気持ち・マインドに関する取組みや教育」です。

ハイコンテクストにも調和重視にも良い所は沢山あるので、関わる人々の抵抗が大きければ、引き続き手つかずの領域にしておくしかありません。

 

しかし、ここに抵抗を感じる人は、3つの大きな誤解をしています。

誤解1 負担ではなくむしろ喜び

「社員の心に踏み入る」という表現の通り、社員の心に負担を強いるような取組み・教育が必要だという思い込みがあるのでしょう。

それは、主体性や自己承認力を得ることは痛みが伴うものだという前提で考えているからです。

まるで、我が子が学校で勉強することを「子供に負担を掛けたくない」と悩む親のようです。

その親にとって、勉強は苦痛で、得た学力で人生を切り拓いた経験がないのかもしれません。

 

誤解2 無理矢理、主体性を高めようとしている

2つの目の誤解は、社員の心に強引に踏み入り無理矢理主体性や自己承認力を身につけさせようとしている点です。

強引な方法によるアプローチで、人の主体性が引き出されることも、自己承認へ向かうこともありません。

それはまるで、我が子に「勉強しなさい」と言い続けることが、我が子が勉強へ向かう唯一の方法だと思い込んでいる親のようです。

その親は、「人が自ら楽しんで勉強へ向かう時の仕組み」「勉強が楽しくて止められない人の仕組み」を知らないのでしょう。

 

主体性と自己承認力を得る過程で本人が得る気づきがもつ意味や、この作業が可能性を引き出す切符だと分かっていれば、本来、迷うことではないでしょう。

 

正しい方法を理解していないから、「社員の心に踏み入る」とマイナスに捉えるのです。

正しい方法を踏まえていれば、ある学校での主体性の講義は、生徒が楽しみに待ち望む時間です。

 

誤解3 幸福度と仕事の成果は別問題ではない

主体性と自己承認がベースとなって生まれる幸福度は、仕事の成果と無関係ではありません。

社員の内面的なことは、「業務が落ち着いたらいつか考えてみよう」などと位置づけることではなく、会社が成果を出すための、必要不可欠な取組みです。

 

幸福度と売上高の関係

米イリノイ大学名誉教授の心理学者エド・ディーナー博士の研究によれば、幸福度の高い人はそうでない人に比べて創造性は3倍、生産性は31%、売り上げは37%も高い傾向にあります。

 

また、パーソル総合研究所と慶応大の前野隆司研究室の調査では幸せの実感が低い人が多い企業は減収が多かったとあります。

注:働く幸せを低・中・高群に3等分なるように分類

出典:パーソル総合研究所と慶応大・前野隆司研究室「はたらく人の幸せに関する調査」

 

社員の幸福度が低いと売上高が低くなり、それが社員の不幸を更に高めるという悪循環が起こりかねません。

 

グローバル人材教育にとっての常識

グローバル人材教育とは、多様性に富む環境で、自分や仲間の能力を最大限発揮し、持続可能な成果を出し、より良い社会を築く人材になるための教育です。

身につけるべき要素には以下のようなものがあります。

  • 主体性・自己承認という基盤
  • 多様性・協調性など
  • ビジョン意識・他者貢献意識
  • 高いスキル・知識
  • 他者の能力を高める関わり
  • 自分や仲間の能力を発揮するための環境作り
  • チーム作り

 

最初に身につける「主体性・自己承認という基盤」は、学びを得るためにも、成果を出すためにも、常にその人の基盤となるものです。

主体性なく多様性を理解しても、自己承認なくスキルを高めても、出せる成果に持続性は期待できません。

それほど重要な位置づけにある主体性と自己承認力ですが、身につけるための方法が正しく浸透していない組織が多くあると感じます。

 

まず、主体性を高めるための方法は、主体的な行動を取ることではありません

「主体的に、積極的に物事に取り組みましょう」

「自分の考えを持ちましょう」

「積極的に自分の意見を伝えましょう」

などという投げかけが、人の主体性を高めることはありません。

 

「主体=自分を正しく知り、受入れ、認め、可能性を見出し信じる=自己承認」ここまでを行って、主体性は高まります。

そして、ここまでをしっかりと行えば、「物事を幸せ・成長・やり甲斐などへ繋げる仕組み」 が築かれます。

 

新たな常識

グローバル人材教育では、この基盤を念入りに築いてから、多様性やコミュニケーション、スキルなど、その他の要素習得へ移ることが常識とも言えます。

なぜなら、阿吽の呼吸が通用しない多様な環境で力を発揮し成果を出すためには、スキルや知識だけでは武器には不充分だからです。

社会をより良く築きたいと思う人材が、その思いや能力を存分に発揮するためには、基盤が重要なのです。

そして、この常識は、昔からあった訳ではありません。

持続可能な発展を望む今の社会で成果を出すために、新たに常識になった考え方です。

 

まとめ

働く中で、不幸を生むマイナス要素が現れれば、その都度対策を取ることは大切です。

しかし、以下を度外視することのないよう注意した方が良いでしょう。

  • 社員はもともとの幸福度が高いのか?(主体性が充分築かれ自己承認が完了)
  • 社員はもともと幸福度を高める仕組みがなく不幸を感じやすいのか?(主体性がなく自己承認不足)

 

たとえるならば、寒い日にカイロをあげる相手は、

  • コート・手袋・ブーツを身につけているのか?
  • Tシャツ短パンなのか?

カイロ自体は両者にとって喜ばしいものでしょうが、後者はカイロの前に厚着ですし、カイロの効果も限定的です。

  

「社員の内面的なことなので手つかずの領域のままでいい」であれば、両者を見分ける必要はありません。

しかしそれは、組織にとっての持続的な生産性向上と成長を諦めることに繋がっているかもしれません。

頑張って取り組めば、蒔いた種はいずれ、しっかりとした根を張るでしょう。

 

以下記事にて、主体性を高めるための教育を解説しています。

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