日本の接客が危ない!!スタッフハラスメントへの無理解/外国人客/カスハラ

本記事では、以下のような疑問を解決します。

  • カスタマーハラスメントの反対=スタッフハラスメントとは?
  • 日本の接客文化を発展させるには?

 

記事を書いている私は、グローバル人材教育 コンサルタントです。

  • 20年以上のグローバル人材のマネジメント・採用・育成の経験
  • 航空機関格付け調査Skytraxにて日本で唯一5つ星★獲得のANAで品質調査便責任者の経験
  • 世界一のレストラン・デンマークnomaの海外初出店舗にてグローバル顧客対応教育実施(ミシュラン星★獲得/World Restaurant Award等受賞)

 

グローバル接客研修やサービス調査を行う中、長年、スタッフハラスメントに対して問題意識を抱いてきました。

これは、日本だけでなく世界に存在しており、比較的、海外で横行していました。

しかし、日本のグローバル化が進む中、これまで隠れていた日本人が抱えるハラスメントの火種が大きくなっていると感じるようになったので、本記事にて警鐘を鳴らしたいと思います。

 

日本の接客が危ない!!スタッフハラスメントへの無理解/外国人客/カスハラ

日本の接客が危ない!!スタッフハラスメントへの無理解/外国人客/カスハラ

 

スタッフハラスメントとは

  • 「ハラスメント」とは、「いじめ・いやがらせ・人権侵害」であり、優位的な立場を背景とした行為
  • 「カスタマーハラスメント」は、顧客という立場を背景とした、クレームを越える威圧的等の行為
  • 「スタッフハラスメント」は、顧客が置かれた不利な状況を背景とした、スタッフによる威圧的・人権侵害等の行為

 

顧客が置かれた不利な状況

顧客が置かれた不利な状況とは、たとえば、

  • 顧客が外国人であり、その土地の言葉や風習等を充分に理解していない状態
  • 顧客が年配者や子供であり、サービスについて充分に理解していない状態

 

スタッフハラスメントの特徴

スタッフハラスメントと他のハラスメントとの違いは、以下です。

  • 不利な扱い・人権侵害を受けた側が、そのことに気がついていない場合がある
  • 「サービスの悪いスタッフ・店」と片付けられ、人権侵害が潜んでいても問題視されていない

 

スタッフハラスメントの基準

スタッフハラスメントの基準は、以下2点です。

  1. 顧客が、顧客として得られるべき権利を得られないこと
  2. 顧客が、スタッフの言動によって、人権を侵害されること

 

顧客として得られるべき権利の例

  • サービスに関する説明を受ける権利
  • サービスの選択肢を知る権利
  • 享受可能なサービスを受ける権利
  • 可能な限り希望が尊重される権利
  • サービスを受ける場を侵害されず楽しむ権利
  • 意見や疑問に関し、解消へ向けた対応を受ける権利

 

注)消費者契約法に反する行為(不当な勧誘による契約締結など)は消費生活相談窓口へ

消費者庁「消費者契約法」について

 

外国人が感じる人権侵害例

  • 外国人の風習や習慣の違いが受入れられない
  • 差別的な言動(無視など)を受ける
  • じろじろ見られる
  • 入店やサービス享受を拒否される
  • 他の客が受けているサービスを受けられない 

法務省「人権に関する資料/外国人」

 

スタッフハラスメントの例

どのような対応がスタッフハラスメントに当たるのでしょうか。

たとえば、外国人のお客さまが「通常のサービス」を知らないことを良いことに、又は、言っても分からないと思って、以下のような行為をすることが、スタッフハラスメントに当たります。

 

サービスの品質を下げる・省略する

  • 通常のサービスを提供しない
  • 品質を下げて提供する

具体例

  • スタッフの都合でサービス内容やメニューを決める
  • 通常は行っているお通しのサービスを行わない

 

提供情報の省略

  • お客さまが享受可能なサービス・選択肢を知らせない

具体例

  • 全ての選択肢を敢えて見せず、スタッフの都合の良いように誘導し注文させる
  • 希望を聞かず、最も煩雑な席・化粧室近くの席などへ着席させる

 

一方的なルールの押しつけ

  • お客さまの希望を確認せず、スタッフの都合の良いサービスをルールかのように表現する

具体例

  • 通常は行わない時間制限を取り入れる
  • 通常、日本人のお客さまが選ぶサービスをルールかのように説明し注文させる

 

主張を聞かず話し合いを避ける

  • お客さまの疑問や意見を理解・解決しようとしない

具体例

  • お客さまの疑問を理解しようとせず、話し合いを放棄し、警備や責任者をすぐに呼ぶ
  • 「文句があるなら帰ってください」という対応をする

 

スタッフハラスメントの結果

スタッフハラスメント行為は、どのような結果を招くのでしょう。

 

顧客満足度の低下

当然、顧客満足度が低下し、「感じの悪いスタッフ・店」として二度と選ばれることもないでしょう。

 

日本のサービス文化に影を落とす

日本のサービスを「おもてなし」という品質から遠ざけることにはなるでしょうが、それも含めて日本の現時点でのサービス水準です。

 

日本人の民度と幸福度を自ら下げている

今、世界中のあらゆる分野で「持続可能な発展」を実現する流れが加速していますが、実現していく人間自体が持続可能な発展をする力があるかどうかが益々問われていきます。

国の豊かさを表わす指標がGDP(国内総生産)からGDW(国内総充実)へ変化する中、本当のWell-beingな社会は、Well-beingな人間によってしか創られないでしょう。

そのような中、幸福度世界56位(2021年)の日本は、これまで培った高い能力・技術を更に活かし世の中へ貢献するためにも、日本人は内面の豊かさを育てていく時期にあると言えます。

 

スタッフハラスメントの8つの原因と対策

スタッフハラスメントの原因を8つ挙げます。

  1. 人権意識
  2. 異文化受容力
  3. もてなしの落とし込み
  4. 問題意識・創造意識・価値創造意識
  5. 価値融合意識(多様性の活用意識)
  6. コミュニケーションに対する姿勢
  7. カスハラを受けた人の反動=ハラスメントの連鎖
  8. 劣等感を感じやすい国民性の反動

 

1.人権意識

日常は、知る権利、選ぶ権利など、多くの権利を尊重されて成り立っています。

しかし、残念ながら、日本人の人権意識は、現状高くありません。

たとえば、戦いによって自由を勝ち取り独立した国家であるアメリカの方は、個人の自由が尊重されることを日頃から重要視しています。

ですから、感染対策であるマスクの着用に対して、着用しない権利も守られるべきだという議論が続いています。

 

個人の自由を尊重・主張することよりも、調和や社会全体の安全を保つことを個々が自ら進んで重要視するような日本人の意識は、世界的に見ても大変珍しいものです。

この日本人気質のお陰で、私たち日本人が多くのものを得ている事実は誰にも否定できませんし、大いに誇るべきものです。

 

その一方で、他者、特に外国人が当たり前に欲する自由に対する理解・想像・寄り添いが苦手でもあります。

良い悪いではありません。ただ、苦手だと言うことを知り、他者の自由を尊重する意識・他者の権利を守る意識をもつようにしましょうというだけのことです。

外国人が当たり前に欲する自由に対する理解・寄り添いが苦手だと自覚し

他者の自由や権利を守る意識をもつようにする

 

2.異文化受容力

日本人は世界的に見ても、異文化に慣れていない人々です。

いくつもの歴史的・政治的・文化的背景が理由として挙げられます。

 

外国人の異文化行動を目にした時、以下のような反応を示す日本人がいると思います。

  • 郷に入っては郷に従うべきだ
  • こんなことをするなんて、非常識だ

これらは批判的な反応と言えますが、とても不思議なことは、本来は人に対する批判的な行為が決して多いとは言えない日本人が、異文化行動に対しては、批判的な反応が出てくるということです。

 

これは単純に、以下2つが原因だと考えられます。

  1. 異文化・多様性に慣れていない
  2. 異文化・多様性を受入れ、尊重するために欠かせない内面的土台が未整備

 

異文化・多様性を受入れるための内面的土台については、以下記事をご覧ください ↓

 

異文化・多様性を受入れ、尊重するために欠かせない内面的土台を築く

 

3.もてなしの落とし込み

「もてなしの心」は、日本人の得意分野のように思われています。

実際、ホスピタリティ研究の権威であるアメリカのコーネル大学から、アジアにおけるNo.1ホスピタリティと認められたサービスは、日本にあります。

 

しかし、日本のサービスで、「もてなし」が行為だけに留まっているような場面が多く見られることは事実です。

もてなしの心でお客さまに接するとは、もてなし行為をすることではなく、家族や親友かのように捉え、心を寄せ、そこから生まれる行為をすることです。

 

「もてなし」を行為から心へ落とし込む

 

4.問題意識・改善意識・価値創造意識

日本人に限ったことではありませんが、若者より年配者が多い高齢化社会では、以下のような考えをもつ人の割合が増えます。

  • 今までこのやり方でやってきてうまくいっていたから、間違いない
  • 相手がこのやり方に合わせるべき
  • 前例に習うべき
  • 右向け右、和を乱すべきではない

 

このような考え方のお陰で、日本はここまで発展し、若者も皆がその恩恵に預かり生きています。

ですから、先輩の考えや積み重ねた過去全てに対し、敬意を払い、感謝をしましょう。

 

一方で、私たち日本人が意識すべきは、以下のようなことです。

  • 若者が、時代を創っていく意識をもつこと&もてるようにサポートすること
  • 時代をより良く築こうとする人の応援をすること
  • 経験から来るアドバイスは、批判・否定ではなく、応援の気持ちから発すること

 

時代を創る意識については、以下記事をご覧ください ↓

 

時代をより良く築こうとする人の批判・否定ではなく、全力応援をする

 

 

5.価値融合意識(多様性の活用意識)

多様性とは、「異質なものだが、受入れるべきもの」ではなく、「より良いものを築くために融合させてもらうべき価値」です。

ですから、多くの企業は、敢えて異質な多様性・多国籍従業員を積極的に採用し、企業体質を強化します。

 

日本文化が世界的に評価されている理由のひとつは、築き上げた価値を守りながら、新たな価値を取り入れられる=融合できる所です。

これは、日本文化の強みです。

 

日本人は異文化・多様性に慣れていない人々ではありますが、ひとたび受け入れを理解すれば、素晴らしい価値の融合を可能にする人々です。

 

多様性の活用については、以下記事をご覧ください ↓

 

日本人お得意の「価値の融合」を発揮する

 

6.コミュニケーションに対する姿勢

日頃から多国籍な人々に接していれば、日本人の特徴が良く分かります。

日本人の行為ひとつひとつから、日本人が何を大切な価値として生きているのかが分かります。

 

日本人にとって大切な価値、それは、「和」です。

「和を以て貴しとなす」「調和」、これが日本人が意識せずとも重んじている価値です。

 

この価値基準をもつ日本人は、素晴らしい仕事を生み出し、素晴らしいチームも作ります。

しかし、和の心を多国籍チーム形成時にいかに効果的に活かすかを理解する前の日本人であれば、主張が激しく、自由を重んじる外国人とチームを築くのは容易ではないでしょう。

その結果、

  • 面倒くさい話し合い、意見の衝突を避ける
  • 人と異なる言動・目立つことを避ける

このような消極的なコミュニケーションに繋がってしまいます。

 

異なる価値感を混ぜて新たな価値を創造することが、多様性に富む環境・時代の当たり前だと捉えましょう。

そして、主張がぶつかること、整理しきれないほど異なった意見が集まることを、「和が乱れること」ではなく、「より良い価値創造を可能にする材料」と捉えることができると良いと思います。

 

主張がぶつかること、整理しきれないほど異なった意見が集まることを

「和が乱れること」ではなく、「より良い価値創造を可能にする材料」と捉える

 

 

7.カスハラを受けた人の反動=ハラスメントの連鎖

カスタマーハラスメントが増えている日本では当然、カスハラを受けた経験があるスタッフが増えています。

 

カスハラを受けた場合、中には、無意識のうちに心の傷として抱え、自己肯定感を失ってしまう人もいるでしょう。

そのような場合、自分がされたこと(ハラスメント・人権侵害・いやがらせ)を、別の人に行う連鎖が生まれることがあります。

 

カスハラの原因はハラスメントを行う人の内面的な問題=自己承認不足にありますが、その自己承認不足がハラスメントを介して、スタッフの自己承認不足を生んでしまうという連鎖です。

カスハラを受けたスタッフだけではなく、共に働く全てのスタッフ・経営陣が自己承認している人々の集まりであることが大切です。

 

たとえば、児童虐待は親から受けた虐待が子供へと連鎖されてしまうことが多くあります。

そこで見直され、重視されている対策は、虐待行動をとめるのに必要なのは「いい親になるための努力」ではなく、「親自身を癒やす回復」です。

つまり、自己承認し、自分を受入れ、認め、大切にすることです。

 

全ての人が、理想通りに、自己肯定感を失わぬよう辛い経験を処理できるわけではありません。

そのことを、コミュニケーションに関わり働く人自身と周りの人(組織・同僚・上司)が理解し、受けたハラスメントをハラスメントの連鎖に繋げないようにしましょう。

 

ハラスメントの本質的な原因=自己承認不足と解決法については、こちらの記事をご覧ください↓

 

カスハラの原因がカスハラをする人の自己承認不足という内面的な問題にあることと

カスハラを受けた人が同じ自己承認不足に陥り易いということを理解し、

自分や同僚がハラスメントの連鎖にはまらないよう意識する

 

8.劣等感を感じやすい国民性の反動

日本人の謙虚さは素晴らしく、優しさや思いやりの連鎖を生み出します。

一方で、謙虚故に、「自分なんて」などという劣等感を感じやすいのも日本人の特徴です。

 

たとえば、英語が苦手な日本人の中には、劣等感を感じ、行動が萎縮することがあります。

世界から美しいと評される日本語を完璧に操ることができるにもかかわらず、そこを誇りに思ったり、自慢するのではなく、「英語ができないこと」に意識が向かい、劣等感まで感じます。

 

謙虚故ということではありますが、これは暗に、「物事を優劣で判断しているからこその劣等感」と言うこともできます。

日本人の中には、優劣で物事を見る基準がある、そしてそれは、「優」でいたいという本能のようなものを生んでいる、だから「苦手・できないこと=劣」であることを必要以上に意識しているのです。

 

これは、日本語を美しく扱えるという「今あるモノ」より、英語が苦手という「欠けているモノ」へ意識が向かいやすいということです。

それは、自分の中に「欠けているモノがある」という大前提があるからです。

 

つまり、「自分にはそりゃあ得手不得手はあるけれど、そもそも自分はありのままで完璧なのだ」とう自己承認ができていない国民が多いということです。

良い悪いではありません。単なる特徴です。

自信を持ちすぎ、傲慢で横柄なのも困りますが、元々謙虚で親切な日本人は、自己承認不足を解消しても、傲慢にはなれないでしょう。

そして、素晴らしい特徴を多く持つ日本人の多くが自己承認したら、最強の民族になるかもしれません。

 

自己承認の大切さと方法はこちらの記事をご覧ください↓

英語に対するコンプレックスについては、こちらの記事で触れています↓

 

自己承認不足が不要な劣等感を生み出しやすいことと

自己承認不足は負の連鎖を生むことを理解し

なるべく多くの人が自己承認を完了させる

 

日本が目指すべき新たな接客文化

日本がこれからの時代に目指すべき接客文化とは、以下のような接客ではないでしょうか。

 

自身と自文化に誇りをもち、同様に異文化を受入れ敬い、

相手を家族のように思い接し、太い自分軸と自分軸の交流を積み重ね、

価値創造と価値融合の意識をもった接客

 

これを可能にするために、以下の要素が大切になります。

  • 異文化・多様性の受入れ
  • 思いやりの心
  • 自分自身・自文化への理解と誇り
  • 価値創造意識
  • 多様性の活用意識

 

これを体系的に理解し、習得するのが、「高CSのための8要素」です。

 

高CSのための8要素

高いCSを可能にするための対応力は、スキルだけでは不充分です。

以下記事で解説している「高CSを叶える8要素」を組織も個人も踏まえていることが大切です。

 

まとめ

  • 「スタッフハラスメント」とは、顧客が置かれた不利な状況を背景とした、スタッフによる威圧的・人権侵害等の行為です。
  • グローバル化・多様性の共存が進む中、日本人の中に隠れていたハラスメントの火種が大きくなっているかもしれません。

 

  • スタッフハラスメントの原因は8つ考えられます。
  1. 人権意識
  2. 異文化受容力
  3. もてなしの落とし込み
  4. 問題意識・創造意識・価値創造意識
  5. 価値融合意識(多様性の活用意識)
  6. コミュニケーションに対する姿勢
  7. カスハラを受けた人の反動=ハラスメントの連鎖
  8. 劣等感を感じやすい国民性の反動

 

  • それぞれの対策は以下の通りです。
  1. 外国人が当たり前に欲する自由に対する理解・寄り添いが苦手だと自覚し他者の自由や権利を守る意識をもつようにする
  2. 異文化・多様性を受入れ、尊重するために欠かせない内面的土台を築く
  3. もてなし」を行為から心へ落とし込む
  4. 時代をより良く築こうとする人の批判・否定ではなく、全力応援をする
  5. 日本人お得意の「価値の融合」を発揮する
  6. 主張がぶつかること、整理しきれないほど異なった意見が集まることを「和が乱れること」ではなく、「より良い価値創造を可能にする材料」と捉える
  7. 自分や同僚がハラスメントの連鎖にはまらないよう意識する
  8. なるべく多くの人が自己承認を完了させる

 

日本の接客文化が発展することを願っています。

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