そのパワハラ教育で撲滅できるのか/自己承認力・他者受容力・内面課題

本記事では、以下のような疑問を解決します。

  • パワハラはなぜなくならない?
  • パワハラする本人のどこに問題があるのか?
  • 解決法は?

 

記事を書いている私は、グローバル人材教育 コンサルタントです。

  • 20年以上グローバル人材マネジメント・育成・採用を経験
  • 現在は、企業・学校・自治体にてグローバル人材・組織教育
  • グローバル組織創り教育は東京都公共事業に採用

 

そのパワハラ教育で撲滅できるのか/自己承認力・他者受容力・内面課題

そのパワハラ教育で撲滅できるのか/自己承認力・他者受容力・内面課題

 

パワハラには、パワハラする本人の中に原因があります。同じ事柄が起こっても、人によってはパワハラへ、別の人にとっては良質なPDCAへと、繋がる先が異なるからです。

 

パワハラがなくならない原因

パワハラがなくならない原因は、

  1. パワハラする本人の問題
  2. パワハラがまかり通っている組織の問題
  3. 結果として、パワハラを受けた人が堂々と解決のために動けない現実

 

これらが解決されないからです。本記事では、パワハラする本人の中にある問題について解説します。

 

パワハラ行為・考え方が直らない理由

パワハラをする人の、パワハラ行為や考え方が直らない理由は、直し方が適切ではないからです。なぜなら、パワハラをする本人の中にある原因に対して、充分な原因分析がなされないことによって、正しい対策が見つけられないからです。

 

パワハラが起こる時

パワハラは怒りによって生じます。怒りは、自分の思い通りに事が進まない・人が動かないことがキッカケで始まります。しかし、同じ事が起こっても、人によっては落ち着いて受入れ、生産的な行動を取ります。

つまり、起こった出来事を怒りに繋げる仕組みに問題があるということです。

 

状況を変えても効果に持続性はない

ですから、うまく行かない事柄が起こらないように状況を変えても、意味がないということです。

  • パワハラをする人がいつも怒りを向けている対象の部下を別の人に変えても、
  • パワハラをする人がいつも蹴飛ばすゴミ箱を移動させても、
  • 監視の目を配置しても、
  • 通報窓口を設置しても、

パワハラをする人の中にある「起こったことを怒りに繋げる仕組み」が消えない限り、事を変え、相手を変えて、パワハラは永遠と続きます。

 

ですから、起こった出来事を怒りに変えてしまう内面的な問題に目を向け、修正するしかありません。内面的な問題とは、たとえば、劣等感、自信のなさ、不安、焦り、他者受容力の低さ、などがあるはずです。この感情を癒やすことが、パワハラが根本からなくなる唯一の方法です。

 

間違った原因分析

ここからが落とし穴です。

 

原因分析と対策が不充分な場合

内面的な問題を解決しようとする時、多くの人が陥りがちな対策が、

  • 自信がない人は、自分に自信を持つようにしましょう
  • 不安な人は、安心するようにしましょう
  • 焦りがある人は、落ち着きましょう

などの声掛け・アプローチです。

 

  • 不安に陥ってしまう人に対して、「大丈夫!安心して!」と言っても
  • 自分に自信がないと言う人に対して、「自信をもって!」と言っても、
  • 焦りが湧き上がってしまう人に対して、「落ち着いて!」と言っても、

何の効果も生みません。

 

本質を踏まえたアプローチを

これはまるで、足が痛いと言う人に、松葉杖を渡して解決したつもりになっているようなものです。足が痛いのには理由があります。骨折か脱臼か、すりむいたか、筋肉痛か。本質を見てアプローチをしなければ、生産的な時間・労力の使い方にはなりません。普通は、松葉杖の前に、痛む原因を見つけます。

 

パワハラをする人の「うわべ」を直させようとしても、意味がありません。

  • 横柄な態度
  • 声の大きさ
  • きつい言葉遣い
  • 表情
  • 怒り・自信のなさ・焦りなど感情の扱い方

これらは全て、「うわべ」です。

「自信をもってみましょう」というアプローチは、「うわべ」しか見ていないアプローチです。

 

うわべを直すようアプローチすれば、一瞬効果が確認できますが、一過性です。アンガーマネージメントを学んでも、言葉選びや態度を修正しても、効果が持続せず、またパワハラに戻ります。一旦やり過ごしているだけの状態だからです。

 

不充分な原因分析と対策から得られるもの

不安や焦りが湧き上がる理由や、自信を持てない背景に関心をもたず、「安心して!」「自信をもって!」などと言っても、言われた人は、

  • 安心したくてもできない
  • 自信をもちたくてももてない
  • 簡単に言わないで

などと思っているかもしれません

そして、このようなアプローチは「効果を生まないけれど、別に害はない」ではありません。

 

本人の内面的な問題を悪化させる

本質を踏まえない人からの言葉は、以下のような害を出します。

 

  • 自信のもてない自分を認識する機会を与えられ、余計自信を失う
  • 自信をもつ方法が自分で分からず、余計自信を失う
  • 「自信をもって」などと本質を踏まえない言葉を言われることで、自分には理解者がいないと感じる

 

正しい原因分析

正しく原因分析をし、適切な対策を試すことが大切です。

 

思いつく原因から先を深掘りする

思いつく原因は、 劣等感、自信のなさ、不安、焦り、他者受容力の低さです。これらが内面的なものだからといって、これが、原因分析で行き着くべき最後のエリアではありません。その先があります。

 

  • なぜ劣等感があるのか?
  • なぜ自信がもてないのか?
  • なぜ不安や焦りが生じるのか?
  • なぜ他者受容力が低いのか?

 

原因分析を途中で止めてはいけません。

 

劣等感、自信のなさ、不安、焦り、他者受容力の低さを原因と位置づけ、それらを解消することを考えることは、痛いという事実だけを見て松葉杖を渡そうと考えるようなものです。痛みの原因に正しくアプローチしなければいけません。たまたま松葉杖が役立つかもしれませんが、見当違いの場合もあります。たまたま出る効果に安定性はありません。

 

「なぜなぜ10回の自問自答習慣」で、答えに詰まった先の真の答えを見つけるのは、成長サイクルに入る方法にのみ使える方法ではなく、どのような時にも使えます。こちらの記事をご覧ください↓

 

内面的な問題は「自己承認不足」

内面的な問題は、本人の中で自分に対する自己承認ができていないことにあると考え、殆どの場合は間違いないでしょう。

「自己承認ができている」とは、自分をありのまま受入れ、認め、大切に思い、可能性を信じている状態です。

自己承認が未完了であれば、人は、自信がもてず、不安で、何かに常に焦っています。これは、心に穴が空いている状態です。

 

結果として、

  • 忙しくしていなければ落ち着かない
  • 人の評価が気になる
  • 人からの評価が欲しい
  • 人から認められたい
  • 人から指摘されたくない
  • ミスや自分の課題を認められない
  • 目に見える成果を得て安心したがる
  • 物事を自分の思い通りに進ませたい
  • 自分の意思が分からない

などの状態になります。

 

それは、つまり、

  • 自己証明
  • 自己防衛
  • 自己実現

のために、意識と時間を費やし、心の穴を埋めることを優先し生きているということです。言い換えれば、能力をストレートに、成果を出すためのこと・他者への貢献などに使えていないということです。(=人が成果を出しにくい状態or成果に持続性がない状態です)

 

ただ、心の穴を埋めることは、生きるためには最優先される本能なので、当然のことです。自己承認不足の人にとっては、相手が成長し易い関わりをもつことより、成果が出やすい環境を築くことより、心の穴を埋めて一旦安心することが、優先だということです。

 

パワハラ行為が心の穴を埋める

本能が求める通りに心の穴を埋めて一旦安心することが、パワハラ行為とどう関係があるのか?ということです。 

 

パワハラ行為に及ぶ理由(左)とその根底にある思い(右)

  • 自分が正しいことの証明のため ⬅自分が正しいこと・自分に価値があることを確かめたい
  • 相手に自分の正しさを分からせるため ⬅自分が正しいことを周囲に証明したい
  • 相手に相手自身の未熟さを分からせるため ⬅自分の思い通りに相手に変化してほしい
  • 自分の思い通りに相手を動かすため ⬅自分の思い通りに物事を動かしたい
  • うまくいかない原因を相手に見出すため ⬅自分に非があることから目を背けたい

 

つまり、

  • 自分の価値を保ちたい
  • 自分を傷つけたくない
  • 想定外・能力以上の状況に自分が陥らないよう守りたい

という本能が隠れています。

 

そして、それらの本能は、以下のように言い換えることができます。

  • 自分に価値を見出していない=自分に価値を感じられない

 ➡自己証明へ

  • 自分の課題を知り傷ついてしまっては自分を保てなくなる恐れがある

 ➡相手を必死に変えようとする&原因を自分以外に見出す

  • 想定外の事態に対処する充分な能力が備わっていないと自己評価している

 ➡思い通りに進めたい

 

以上が、自己承認不足がパワハラ行為へ繋がる背景です。

ですから、パワハラをする人が自分の事を「自己承認できていないこと」が、パワハラを直せない真の原因です。

 

自己承認の必要性

自己承認力は、成果を持続的に出していく人にとっては必須の能力です。また、持続可能な発展を目指す組織にとっても、従業員の内面的な成熟度というものが欠かせなくなります。

 

持続可能な発展を支える力の基盤だから

今、世界中のあらゆる分野で「持続可能な発展」を実現する流れが加速していますが、実現していく人間自体が持続可能な発展をする力があるかどうかが益々問われていきます。

国の豊かさを表わす指標がGDP(国内総生産)からGDW(国内総充実)へ変化する中、本当のWell-beingな社会は、Well-beingな人間によってしか創られないでしょう。

そのような中、幸福度世界56位(2021年)の日本は、これまで培った高い能力・技術を更に活かし世の中へ貢献するためにも、日本人は内面の豊かさを育てていく時期にあると言えます。

 

他者承認力の元になるものだから

自己承認は、自分の中に自信や可能性を信じる力を生みますが、それによって、他者を承認することができるようになります。人が成長したり、組織が発展する時は、お互いを認め合い、尊重し合う風土があるときです。

つまり、人と関わりながら成果を持続的に出していく場合、他者承認力をもつ人々の集合体が必要になります。

それはつまり、自己承認を完了させた人々の集合体でもあるということです。

 

 

パワハラをする人が「自己承認を完了」する方法

自己承認によって得られる効果は絶大ですが、作業としてはシンプルです。

以下記事で解説していますので、ご覧ください。

 

アンガーマネージメントも根本原因の解決には繋がらない

また、パワハラ講習会などで、アンガーマネージメントについて学ぶこともあるでしょうが、これも松葉杖と同様、根本原因の解決には繋がらないため、持続可能な発展を支える人材や組織作りには適していないでしょう。

これについては、以下の記事をご覧ください。

 

パワハラ防止のための教育

パワハラ防止のための教育としては、パワハラの撲滅を目的とした内容であることが必要です。

 

本質的な解決に繋がっていない取組みを把握する

まずは、以下のような取組みは、不要ではありませんが不充分であり、パワハラの根本的な撲滅には繋がっていないということを踏まえることが大切です。

  • ハラスメントが生産性に与える影響を学ぶだけでは不充分
  • ハラスメントに及ぶ原因を他者受容力の低さや完璧主義と片付けていては不充分
  • コミュニケーション方法や感情のコントロール法を学ぶことは対処療法に過ぎない
  • ハラスメントを許さないという会社のスタンス提示は解決法には当たらない
  • 「自信をもって」「安心して」などというアプローチはパワハラ撲滅には繋がっていない

 

必要な教育

パワハラの撲滅を目的とするならば、教育は以下の内容が含まれていることが必要です。

  1. 自己分析・他者分析
  2. 自己承認具合の確認と承認力を養う
  3. ビジョン意識・目的意識
  4. 自分の主体性とトラブル処理時の思考を分析
  5. 自己承認が他者受容へ繋がることを自覚
  6. ハラスメントと生産性
  7. 同僚の理解
  8. コミュニケーション方法
  9. 感情コントロールは対処療法と踏まえた上で学ぶ

 

1~5番と7番が必須です。対処療法的な教育で済ませるのであれば、8・9番で足るでしょう。

 

周囲の人が気づくべきこと

実は、パワハラをする人の行為・考え方を直そうとすることや、内面的な問題に向き合ってもらおうとすることより先に、周囲の人・あなたが、3つのことに気づくことが大切です。

 

1.あなた自身も自己承認不足かもしれない

自己承認している人は、相手の行動や考え方にパワハラを確認しても、その原因が相手自身の自己承認不足にあると認識しています。つまり、もしあなたが、パワハラをする人が抱える内面的な問題が「自己承認不足にある」いうことに気がついていなかった場合は、あなた自身も自己承認不足かもしれないということです。

たとえば、あなたがパワハラ行為の根本原因に見当がつかなかったり、行為を直してもらうためにパワハラをする人に対して前述のような本質を踏まえない言葉(「自信をもって」など)によるアプローチが効果的だと考えていた場合は、あなた自身が自己承認未完了だと察することができます。

自己承認している人は、自己承認している状態とそうでない状態の見分けがつき、自己承認不足によって現れる不具合を認識しています。自分が辿った道だからです。

しかし、自己承認が未完了な人は、見分けがつきません。自己承認の道をまだ辿っていないからです。雨雲の上に快晴の空があることを知っているのは、雨雲を抜けた飛行機だけです。

 

2.仕事などで成果が出る仕組みを理解する

次に、仕事などで、自分やチームの能力が最大限に発揮された上で出る成果の必要性と、どのような条件下で最大限の成果は出るのかという、成果が出る環境の仕組みを理解することが大切です。

自己承認が、以下において、どのような影響を持つのかという理解を深めましょう。

  • 自分の能力発揮・成長において
  • 周囲の人の能力発揮・成長において

 

このことを理解すれば、パワハラをする人との向き合い方や、自分が取るべき行動に、別の選択肢が見出せるかもしれません。

 

以下記事で、「どうすれば多くの力が適切に活かされるのか」について触れています。

 

3.自分自身が自己承認を完了させる

1と2について理解が深まり、気が向く場合は、自分自身の自己承認を丁寧に完了させましょう。シンプルで地道な作業ですが、内面的な成長に繋がることは確かですし、成長した自分自身が生み出す価値は、未知数です。今ある問題の別の側面が見えてくることもあるでしょうし、見えていなかった所まで見えることもあるでしょう。

忙しさを理由に先延ばしにしがちですが、それはまるで、タスキを忘れ走っている駅伝ランナーです。たとえゴールしても、期待していたような結果は得られないかもしれません。頑張って走り抜いたなりの結果を得るために、タスキは握りしめましょう。無理のない範囲で。

 

さいごに

パワハラをする人の内面的な問題や、行為が直せない理由をご理解頂けたでしょうか。

最後に、3つのことをお伝えします。

 

パワハラをする人を憎んで得られたもの

パワハラをする人のせいで、傷つき、立ち直れない人もいるでしょう。組織の生産性を下げていることに気づかない彼らに対して、憤りを感じる人も多くいるでしょう。

 

私も過去多くのパワハラに接してきました。

パワハラを受けたことによって自分の中に芽生えた敵意・自己証明欲・自己防衛欲。組織の中に芽生えた固い団結・負の感情・負の言葉。組織から消えた信頼・思いやり・笑顔・活気

これらのものが基盤となって生まれる仕事では、その成果と品質の不安定さは明らかでした。受けたパワハラを力に変えることは可能でしたが、成果の安定までは生み出せませんでした。

 

これは言い換えれば、自分や仲間の能力や努力が、一過性の成果にまでは届くが、安定持続の成果には届いていないということです。8合目までは登れても、山頂から日の出を見ることが叶わないとうことです。

理由は、周りにあるパワハラに足を引っ張られ、重荷を背負っているからです。その重荷が、自分の中の敵意・自己証明欲・自己防衛欲です。

 

パワハラをする人に対して憎しみなどマイナスな感情を抱くということは、自分自身から、美しい山頂からの景色を奪っているということだったのです。そしてそれは、パワハラをする人と同じ8合目に自ら留まっていたということです。

8合目に留まるしかない人たちに「お先に!」と別れを告げ、自分はとっとと重荷を下ろし、山頂まで登りましょう。美しい景色を見て元気になったら、遅れて山頂を目指す人に手を差し伸べましょう。重荷を手放せば、山を変えても登頂できるでしょう。

 

功績とパワハラ行為を分けて考える

今パワハラをしている人たちが自己承認するのは可能ではありますが、簡単なことではなく、淡い期待を抱くことは避けた方が良いです。なぜなら、冷静さを失いパワハラ行為にまで及んでいる状態というのは、心の穴が大きすぎて手がつけられない状態かもしれないからです。

 

ただ、彼らの内面的な問題(自己承認不足)を理解することは、自分を助けることにもなります。彼らの横柄な言動からは到底想像できないでしょうが、彼らの心には大きな穴が空いているのです。穴が空いた理由は様々ですが、たとえば、過去の失敗のトラウマ、同様のパワハラを受けた心の傷、幼少期の経験など、必ず辛い理由があります。詮索する必要は全くありませんが、抱えきれず、自分で処理できない傷があるということです。

 

しかし、彼らも組織や社会の一員として、自分の役目を、自分なりの頑張りで果たしています。そして実際、その働きによって助かった人が多くいるかもしれません。

一方、彼らのパワハラ行為は、断じて許されるものではなく、受入れる必要はありません。通報も抗議もしますし、撲滅されるべきものです。

つまり、彼らの貢献・功績は認め感謝しつつ、パワハラ行為は毅然と認めないこの二つの意識を、しっかりと分けておくことが大切です。

 

そこまで必要なのか「自己承認」

最後に、自己承認だの、心の穴だの、仕事でそこまで考える必要があるのか?ということです。結論、人によります。

必要性を感じていないのに、無理して自己承認に向き合う必要はありません。成果の持続性よりも目先の成果を出すことを優先せざるを得ない状態にいながら、取り組むものでもありません。

 

実際世界には、持続可能な発展を生む人材や組織作りが急務だと捉えている人がいますが、彼らは、大多数の人が意識していないような些細なことを重要と考えています。 持続発展を支える人自身の内面的な成熟度も、そのひとつです。

 

単純に、必要性を感じれば、自己承認に向き合ったり、自己承認を完了させた人々で組織を築いていけば良いと思います。人によって役割は異なるので、今いる場所で、今の役割に自分がシックリ来ているのであれば、それがベストです。

 

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