【真の異文化理解教育】企業研修担当者が踏まえるべき6つのポイント
グローバル教育の中で、異文化の理解は重要です。
しかし、真の意味で持続的な効果を生む異文化理解教育とは何でしょうか?
本記事は、このような疑問を解決します。
- 教育を行っても組織に異文化理解が定着しないのは何故だ
- 異文化情報・コミュニケーションを学んでいて本当に充分なのか
- 理想の異文化教育とは何なのか
- 20年以上グローバル人財マネジメント・育成・採用を経験
- 現在は、企業・高校・自治体にてグローバル教育
- グローバル組織創り教育は東京都公共事業に採用
【真の異文化理解教育】企業研修担当者が踏まえるべき6つのポイント
異文化理解教育は、異文化情報や相手に応じたコミュニケーション方法を学ぶことが重要なのではありません。
極端な話、必要な異文化情報は自分で入手すれば良いのです。
コミュニケーションも、各自が自分なりの方法を見つけていけば良いのです。
異文化理解で全てうまくいく訳ではない
異文化情報教育を考える際に踏まえるべきポイントは以下6項目です。
- 自分軸があることが前提(主体性)
- 異文化理解の目的(ビジョン)
- 人やチームが育つ環境の理解(協調性)
- 自文化を理解し、誇りを持って語れること(自文化理解)
- 異文化の範囲(多様性)
- 異文化情報の理解(異文化理解)
一般的に、多くの異文化教育は上記6番のみかもしれません。
しかし、教育を受けた後の受講者が、異文化情報を知っていること、相手に合わせた言動ができるようになることが重要なのではありません。
異文化理解が仕事の成果にどのように影響を与えるのかを理解した上で、いかなる異文化に出会おうと柔軟に受入れ、自分や仲間の能力が最大限発揮できる環境を作りながら、継続的に成果を出すチームを創っていくことが重要なのです。
異文化を理解すれば、全てが丸く収まり、成果が出るチームが出来上がるわけではありません。
教育を持続可能な成果に繋げるためには、異文化を理解する前に、自分軸を太くすることが重要なのです。
残念ながら、比較的、日本人は自分軸が太い方ではありません。
ですから、特に日本人にとっては、異文化理解の前(上記1~5)が重要です。
異文化理解教育における大切な6つのポイント
①自分軸があることが前提(主体性)
異文化をいくら深く理解しても、実際に外国人と良好な関係を築けるわけではありません。
長年、多くの日本人のグローバルコミュニケーションを見てきて感じるのは、自分自身のことを誇りに思っていない、可能性を信じていない、又は、そもそも理解していないという「はかなさ」です。
良質なグローバルコミュニケーションは、自分軸と自分軸の交わりです。
グローバルコミュニケーションにおいては、異文化情報が豊富でも、語学がペラペラでも、自分軸がない時点で「場外」に位置づけられるように感じます。
しかし、多くの外国人は優しいので、「君は今、場外にいるよ」なんて、おくびにも出しません。多くの日本人は、気づかぬ内に「場外」にいるのです。
自分軸・主体と聞くと大変に感じるかもしれませんが、シンプルな作業で主体は見つかり、自分軸を太くしていくことができます。これを省略する理由はありません。
自己理解、自己承認ステップが最初です。
②異文化理解の目的(ビジョン)
異文化理解だけでなく、全ての教育は一体何のために必要なのでしょうか?
組織のビジョンで関係者の足並みをしっかり揃えることと、個人のビジョンを設定し、チーム内で共有することが大切です。
異文化を理解する前に、仲間が、相手が、何を思い生きているのか、何を価値だと考え働いているのか、そこを理解し、応援したいほどの気持ちになること。
その上で異文化理解などの教育を受ければ、教育効果は大きく変わります。
仲間の理解にさほど時間は掛かりません。
しかし、チームビルディングにも繋がる一石二鳥の効果が、異文化教育で得られるのですから、これもまた省略する理由がありません。
③人やチームが育つ環境の理解(協調性)
異文化理解だけでなく、全ての教育を行う理由は、「自分や仲間の能力や魅力が最大限発揮されることが、持続的な成果に繋がり、チームや人が成長サイクルにはまり、時と共に強いチームになっていくため」だとすれば、 「自分や仲間の能力や魅力が最大限発揮される」ために必要な環境とは何かを理解することが大切です。
異文化理解や協調性などが、仲間の働きにどのように作用するのか、何が理想なのか。
異文化理解は、なぜ、そもそも必要なのか。
④自文化を理解し、誇りを持って語れること(自文化理解)
残念ながら多くの日本人は、誇りを持って自国を語ることが、まだ苦手です。
しかし、日本人的な行動の背景にある自文化を認識していないというのは、実は大問題です。
これによって、日本人が関わるグローバルコミュニケーションでは、毎日、世界中で物凄い数の誤解が生じていると思います。
自文化について誇りを持って語れないことは、大きなハンデです。
詳しく日本の歴史を学び直すべきだ等と言っているのではありません。
自分の国のことを、自分なりに堂々と語れますか?というだけのことです。
外国人が日本人に対し抱く違和感は多岐にわたりますが、それぞれの文化的・歴史的背景を一挙に理解した時、日本人の瞳は、”日本人であることに誇りを感じている瞳”に変わります。
⑤異文化の範囲(多様性)
異文化イコール外国、ではありません。自分以外の全ての存在は異文化だと捉えることが大切です。
そして、グローバル環境で持続的に成果を出している人は、環境がグローバルだから成果を出せるのではありません。ドメスティック環境でも成果を出せます。今居る環境で成果を出せなければ、グローバル環境でも無理です。
「外国人とのコミュニケーションの方が私には合っている」というタイプはあるでしょうが、だからといって、「日本人同士だと自分は働いていて成果を出せないが、外国人となら出せる」という場合は、外国人の中にいたとしても、出せる成果に持続性はないと思います。
居心地の良い環境で働くことは是非叶えるべきですが、成果を出せない理由を環境のせい(日本人同士の職場など)にしている時点で、本人の中に乗り越えるべき大きな課題が残っています。
持続可能な成果を出す人材は、成果を出せない時の原因が環境にあるとは考えません。
自分軸を認識し、異文化を理解し、成果を出せるチーム創りができるようになった人は、どこにいても成果を出せるようになります。
⑥異文化情報の理解(異文化理解)
最後に異文化情報の理解です。1~5が出来上がっていれば、異文化理解の質は上がるはずです。
たとえば、1~5を踏まえた、ある企業の受講生たちは「異文化情報の理解」の講義の前に、自分たちで該当する国の異文化情報を調べました。
そして、彼らが「異文化情報の理解」の講義時間に望んだことは、該当する国の出身者(外国人)に直接質問をしたり、喜ばれるコミュニケーションの取り方を直接教わることでした。
「知らない国の情報を教えて」と受け身で受けるのも異文化教育です。
新しい国の文化が目の前に現れる度に、教育を受けなければいけませんが。
一方、異文化理解が仕事の成果にどう繋がるかを充分踏まえた上で、どのような異文化が現れようと、自力で調べ、対応を考え、成果を出すチーム創りに必要な能力として異文化対応力を磨くのも、異文化教育です。
どちらも正解ですが、出せる成果の持続性と、人材/組織の成長スピードは大きく変わるでしょう。
以上、異文化教育の6つのポイントでした。
◆異文化理解教育に必要なポイント
- 自分軸があることが前提(主体性)
- 異文化理解の目的(ビジョン)
- 人やチームが育つ環境の理解(協調性)
- 自文化を理解し、誇りを持って語れること(自文化理解)
- 異文化の範囲(多様性)
- 異文化情報の理解(異文化理解)
↓「異文化教育ロールプレイ5つのポイント」もご覧ください。
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