企業価値を高めるための従業員教育/人材投資・人材基盤・マインド形成
本記事では、以下のような疑問を解決します。
- 企業価値を高めるための人材投資とは
- スキル・知識などの他、人材のマインドが必要ではないのか
- 具体的にどのようなマインドがある人材が、企業価値を高めるのか
記事を書いている私は、グローバル人材教育 コンサルタントです。
- 20年以上グローバル人材マネジメント・育成・採用を経験
- 現在は、企業・学校・自治体にてグローバル人材・組織教育
- グローバル組織創り教育は東京都公共事業に採用
Contents
時代は高い企業価値を求めている
今、世の中は、企業の本質を問うています。
その経営に、犠牲・エゴ・無理・しわ寄せ・偽りはないのか?
その事業の先に、本当に持続可能な社会があるのか?
経営者のビジョンは何を、どこまで見据えているのか?
従業員は果たしてそこで、何のために、何を目指し働いてるのか?
新しく生まれる東商プライムでは企業価値を改めて問い、投資家はESGを重視し、教育分野でもESDを進めています。
経営姿勢を見直す企業
自分たちの目指す経営はどうあるべきかを問われる企業は、「攻めの経営へ変える」「投下資本利益率(ROIC)など市場を意識した目標を掲げる」「成長投資に資金を振り向ける」など、様々な見直しをします。
しかし、経営姿勢を見直し、「安定志向の経営から脱却する」と目先の行き先を修正し、企業価値はホイホイと高まるものですか?
根本を見直さなければ意味が無い=人材改革
企業価値を高めきれなかった現実がある場合、その価値創造をここまで担ってきたのは、人材です。行き先を変えれば、人材の潜在力や新たな発想や意欲が自動的に引き出されるのでしょうか?
たとえるならば、のどかな道を走っていた原付バイクに、時代が変わったからと、サーキットを走らせようとレーシング仕様の装備を取り付けても、エンジンは50CCです。 バイクは人材、レーシング仕様の装備はスキル・知識、エンジンはマインドです。
これまで立派な仕事を生み出してきた原付バイクが、その力を新たなレースに活かすためには、エンジンを大きくしてから装備を取り付けます。装備が先では、バランスを崩すからです。大切なバイクにとってのベストの状態と今後の活躍を願うから、エンジンの調整が先です。
人に投資を
学習院大の宮川努教授の試算によると、国内総生産(GDP)に占める企業の人材投資の割合は欧米の1~2%に対して日本は0.1%と主要国で最低の水準だそうです。
人への投資を「コスト」と位置づける日本企業の意識がこの際立つ低率に表れていると指摘されています。
また、「技術革新についていくためにも企業はもっと人に投資しなければならない」と警鐘を鳴らす、米国の専門家もいます。
技術・知識を「正しく使いこなす」ための人材教育へ投資
人への投資を後回しにしていれば、当然ツケは回ってきます。しかし、人への投資とは、技術・知識を高めるための投資だけでは不充分です。
それらの技術・知識を、「持続可能な発展のために正しく使いこなす」ための土台作り=人材のマインド整備が大切ですが、殆ど手つかずの領域かもしれません。
企業価値を高めるための人材投資とは
「これからは、攻めの経営で行く」
「持続可能な発展を追求する姿勢で働く」
「自由闊達な風土を作っていく」
このような目標は間違ってはいませんが、飛びついてはいけません。土台作りが先です。土台とは、人材のマインド・内面的なものです。
人材のマインドという土台を軽視すると
人材のマインド=土台を築く意識がないまま、企業価値を高めようと動いても、
- 社内改革を何度行っても、組織は閉鎖的で意欲低い元サヤへ戻ります
- 多様性に対応しようと、いくら従業員の語学力を高めても、外国人VS日本人従業員の構図は生まれます
- 従業員のスキル・知識が高まっても、得た力は対立・批判へ使われ、調和と発展へ向かいません
- 高く設定された会社ビジョンに疲れ、ついて行けない従業員が生まれます
- 社内に「意識高い理想派」VS「堅実な現実派」という構図が生まれます
適切な人材投資・人材改革の順序
人材への投資、従業員のマインド改革などは、当然ながら、企業自体のマインドを整えた後です。
研修を行う中で見えてくるのは、企業自体のマインドが未整備の状態で、従業員のマインド改革を早々に始めようとする組織の多さです。
1.企業自体のマインド整備が最優先
企業のマインド整備とは、以下です。
- ビジョンの設定
- ビジョンの質の見直し
- 経営陣の個人ビジョンへの落とし込み
2.企業ビジョンの質
実は、企業ビジョンが「利己主義な目標」に留まっていることがあります。
- 「○○な会社になる」
- 「△△なサービスを提供する」
- 「✖✖を通して☆☆な存在になる」
これらのスローガンの中で、持続可能な発展を遂げる会社のビジョンとして相応しいものはどれでしょう?
即座に答えが出なければ、あなたの会社のビジョンは良質ではない可能性が大きいです。即座に答えられない従業員は、ビジョンの質を見抜いていないからです。当然、自社のビジョンの質も理解していないと思えてしまいます。
ちなみに、上記3つのスローガンは全て良い企業目標ですが、持続可能な発展を目指す企業のビジョンとしては相応しくありません。
3.経営陣の個人ビジョン
会社ビジョン、イコール、経営陣個人のビジョンではありませんが、会社ビジョンに満足し、個人ビジョンに手をつけていない経営陣は、実は多いと感じます。
会社がビジョンを正しく設定することは、企業価値を高める上では必須です。以下記事にて解説しています。
企業価値を高めるための人材教育
スキル・知識への人材投資の前に、マインドを築くことが必要です。
「何十年と働いてきたベテラン従業員に対して、今更マインド教育などできない」「社内教育担当者としては、マインド教育が必要だと分かっていても、現場だけでなく上司からも難色を示される」などという事情もあるでしょう。
しかし、そのような事情は、全ての会社にあります。どの道を選ぶかということです。
従業員のマインドを築くための教育
以下順番で教育を行うことをお勧めします。
- 主体性の確立
- 経営陣・従業員のビジョン設定・見直し・定着
- 多様性の理解
- 協調性の浸透
- 必要なスキル・知識習得
1.主体性の確立
日本では特に、従業員の主体性の確立を大切にすることが大切かと思います。特に、海外に習い企業研修を企画する会社の教育は、主体性の確立に手つかずかもしれません。
日本人は特に、主体性を高めることで、潜在能力が引き出されます。これは、日本人が世界的に見ても自己肯定感と幸福度が低いことを考えても言えることです。
また、主体性を高める方法は、「主体的な行動を取ること」ではありません。主体性の教育を企画する際は、以下記事をご覧ください。
2.ビジョン設定・見直し・定着
持続可能な発展をたぐり寄せるのは、質の良いビジョンと、ビジョンから逆算した行動決定基準(ビジョンに徹する)の浸透です。
ビジョン意識を高めるための教育は、以下記事にて解説しています。
3.多様性の理解
多様性=外国のこと、ではありません。会社が多国籍従業員から構成されていてもいなくても、多様性の理解は必要です。
多様性の教育企画については、以下記事で解説しています。
4.協調性の浸透
協調性が人材・組織に浸透するためには、「協調性ある行動を取るよう促すこと」は必ずしも効果的ではありません。「協調性を高める方法」は、「協調性ある行動を取ること」ではないからです。
以下記事にて解説しています。
人材の価値に立ち返る
企業には、もともと価値があります。もともと価値がある人材が集まっているからです。企業価値を高めるためには、人材の価値に立ち返ることが大切です。
時代に沿って企業価値を高めるためには、従業員にはITスキルを!グローバル視点を!責任者のマネジメント力を!SDGsを踏まえた取組みを!などと、従業員に新たな能力開発を求める教育や取り組みを取り入れ前に、「使いこなすマインド」を一度疑ってみて下さい。
そして、人材にはもともと価値があるという前提で教育を行うことが、持続可能な発展を支える人材育成や、企業価値を高める教育には重要だということを、忘れないでください。
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