【自問自答習慣】成長サイクルに入る方法/他責NG・ビジョン&目標設定
本記事では、以下のような疑問を解決します。
- どんどん成長していく人の仕組みとは?
- 成長サイクルとは?
- 育成者が意識すべきこととは?
Contents
【自問自答習慣】成長サイクルに入る方法/他責NG・ビジョン&目標設定
成長しやすい人、継続して成果を出しやすい人には、当サイトでお伝えしている主体性・協調性などの要素がありますが、その中でも成長を格段に助けるものがあります。
ズバリ、「自分を成長サイクルにはめること」です。
↓「ビジョンシートを書く」記事では、一部、成長サイクルに自分をはめるツールと方法を解説しました。
本記事では、成長サイクルについて詳しく解説していきます。
成長サイクルとは
成長サイクルとは、何が起こっても成長していくしかない流れのことです。
試合に勝っても負けても、ミスをしてもしなくても、思い通りに事が進んでも進まなくても、全てのことを成長へ繋げる習慣が身についているということです。
自分を成長サイクルに入れる方法
起こる全てのことを成長へ繋げるサイクルに突入するための唯一と言っても良い方法は、2つです。
◆成長サイクルに入る2つの方法&3つのポイント
- 自問自答で答えを出していく習慣をつける
- 物事がうまくいかない原因を他責(自分以外や環境などのせいにする)ではなく、自分の中に見出す
▶Step1 湧き上がったマイナス感情や事柄全てを書き出す
- 湧き上がるマイナス感情(たとえば、悔しさ、ムカつき、不甲斐なさ、自己嫌悪、嫉妬など・・・)
- うまく行かなかった事柄(たとえば、ミス、成果を出せなかったなど・・・)
などを全て書き出します。
▶Step2 マイナス感情の理由に潜む「真の理由」を自分の中に見出す【3つのポイント】
- なぜ自分はそのように(マイナス感情)思うのか、その感情に潜む真の理由を、自問自答で探し当てる
- 自問自答では、成長を止める「他責=人のせい・環境のせい」は避ける
- 自問自答では、たとえ「自分に非はない」と思っても、「もっとこうすれば良かったのかな」と自分の中に原因を見出す
※ビジョンシート3枚目をご参考に↓
3つのポイント
ポイントは3つです。
- 自問自答で答えを出す
- 成長を止める他責は避ける
- 原因を自分の中に見出す「なぜなぜ10回」
1.自問自答で答えを出す習慣
まず、何かうまく行かなかったときも、うまく行ったときも、原因について、最後は自分で答えを出すことを当たり前にしましょう。人の意見を聞いたり、情報をあさり調べても、最後は、収集した全ての情報を、自分が自分に照らし合わせ、原因を見つけます。
なぜ、自問自答で答えを出すことが必要なのでしょうか?それは簡単なことです。自分に関する答えは、自分にしか分からないからです。
たとえば、
◆決勝点を決められ全国大会出場を逃したキーパー
サッカーの試合にキーパーとして出場し、際どいところで決勝点を決められ、チームが全国大会出場を逃したとします。
キーパーは肩を落とし、なぜ点を入れられたのか・・・と考えようとしますが、ショックの方が上回り、冷静に考えられません。
しかし、負けた原因が分かっていないことは、選手にとっては気持ちが落ち着かないことです。
「原因は○○だった。今後は○○を強化すれば良い」と分かっている方が、落ち着くのでしょう。
ですから、そのキーパーは、周りの仲間、コーチ、観戦していた家族に、「自分は何がいけなかったのだろう?」と聞きました。キーパーを親身に思う周囲の人たちは、それぞれに考えを伝えました。
- 仲間のフィールドの選手たちは、フィールドプレイヤーの視点で答えます。
「ディフェンスの守りが一瞬緩んだのが原因だよ!おまえが気にすることじゃないよ!」
「風が強かったから、相手のシュートコースが予想より読みづらかったからだよ!気にするなよ!」
- コーチは、チーム全体・試合の流れを意識しながら、答えます。
「直前のピンチで選手たちが萎縮した。もっとキーパーは後ろから声を張ってチームに気合いを入れたら良かったんじゃないか」
- 観戦していた家族は、家族視点で答えます。
「全国大会は逃したけど、よくここまで頑張ったよ。毎日朝練もして、勉強もして、偉かったよ」
ここで、キーパー本人が原因追及を止めれば、点を入れられた原因は、ディフェンス選手、強風、声出しが足りなかった、で終わります。しかし、真の原因は全く別の所にある、ということがあります。
キーパー本人にしか分からない、たとえば、緊張で寝不足だった、一年前の同じ大会でのミスがトラウマとして残っていた、新調したグローブが微妙に手に合っていなかった、ピッチは芝だと思っていたら土だった、後半は逆光で眩しかった・・・。
真の原因は、自分にしか分かりません。
だから、自問自答で答えを出すことを、当たり前の習慣にすることが大切です。
2.成長を止める他責を避ける
他責とは、うまく行かなかった事柄の原因を、「自分以外の何か」に見出すことです。他責は成長を簡単に止める恐ろしい習慣ですが、本人が無意識なのが特徴です。
たとえば、仕事で「もっと相手に伝わるように説明してほしい」と仲間から注意を受けた場合、他責主義者はこう考えます。
- 自分が作った資料じゃないんだから、仕方ない
- この言葉を付け足せだの、この説明を入れろだの言うから、それを意識しているから仕方ない
- 自分なりに伝わるように頑張っているから、もう改善点はないし、理解しない受け取り側の問題だと思うが
しかし、本当にそうでしょうか?
- 自分以外が作ってくれた資料を説明するにあたり、自分の言葉で話せるほど内容を落とし込んでいないことが原因では?
- 伝えるべき言葉や説明がいくつかあるだけで、果たして全ての人が、相手に伝わらない説明しかできないのか?
- 自分なりの頑張りに不足があるのではないか?
- 理解できない受け取り側は、話し手が変わっても本当に理解できないのだろうか?
3.原因を自分の中に見出す「なぜなぜ10回以上」
他責を止めたら、次は、原因は自分の中に見出すことで、成長サイクルに入る決め手になります。
◆「なぜなぜ10回以上」で自問自答
原因を自分の中に見出す際は、「なぜなぜ10回以上」を意識します。
「なぜそうなった?」➡「○○だったから」
➡じゃあ「なぜ○○は防げなかった?」➡「✖✖だったから」
➡じゃあ「✖✖なら必ずそうなるのか?」➡「いや、そうとは限らない」
➡じゃあ「なぜ今回はそうなったのか?」➡「・・・・・・。なぜだ。。」
すぐに答えが出せなくなるまで、まずは自分に質問を続けます。
簡単に出てくる答えは、真の原因ではないことが多々あるからです。
もうこれ上掘れないと思ったその先に、真の原因はあるものです。
ですから、目安として10回、答えに詰まるまで、自問自答を続けます。
たとえば、接客業の人が、お客さまから理不尽なクレームをもらった場合、普通は、「おかしなことを言うお客さまが悪い」と、事は片付きます。しかし、世界的に高品質なサービスを継続的に提供している人や組織は、そこから更に原因追及をします。
理不尽なことを言うお客さまのことを気に病む必要はない!しかし、「我々はここから何に気づくべきだろう?」と考えます。
- お客さまが理不尽な要求をした背景には、弊社のサービスに何か誤解を招くような表現や内容があったのではないか?
- お客さまがご立腹になった背景には、弊社への期待があり、そこに我々が気づけていなかったのではないか?
- 理不尽な態度を取るというハラスメントに対し、理解が及ばないお客さまは一定数いるということに、我々はどう準備していたか?
などです。
「他責を避ける➡原因を自分に見出す」について、以下のケースをご紹介します。
事例:お客さまがサービスに満足しなかった
責任者としてチームで提供したサービス(コンサルティング)にお客さまが満足していない様子だった場合の、成長サイクルにある人と他責主義者の考え方の違いを見てみましょう。
◆成長サイクルにある責任者の場合
お客さまから話を聞いた上で、原因を自分の中に見出そうとします。
チームがお客さまのニーズに気づけていなかったことが分かった場合、
- 自分がチームに対し、お客さまのニーズに気づけるよう予め声掛けをしなかった
- 自分がお客さまのニーズに気づけなかった
などが原因だと捉えます。
そして、更に深掘りします。(なぜなぜ10回)
- なぜチームへの声掛けや気づくことができなかったのか?
- その原因も、チームモニターが働くようなマネジメントが自分にできていなかったのではないか?
- また、自分自身が責任者としてマネジメントに意識が向かいすぎていてお客さまへの寄り添いが欠けていたのではないか?
などと、自分の中に見出します。
以降は、
- チームとの丁寧で余裕のあるコミュニケーション
- お客さまへの寄り添いに徹底する
などという、新たな行動目標を掲げます。
その姿勢とコンサルティングの変化に対し、チームもお客さまも、その責任者への信頼を深めますし、責任者自身の能力と人間性が、更に高まっていきます。
これが、成長サイクルにある人です。
◆他責主義者が責任者の場合
一方、同じような状況でも、他責が習慣化しているコンサルタントは原因を以下のように挙げます。
- お客さまのニーズに気づかなかったチームの能力不足のせい
- ニーズをしっかり伝えなかったお客さまのせい
- お互いのコミュニケーションが足りなかったかもしれないが、それはコロナのせい
他責主義者は、一向に、自分の中の原因を見出すことができません。
成果を出せなかった理由は、周囲の人や環境や条件が原因だと、事を落ち着かせます。
ですから、周囲の人や、お客さまや、コロナや景気が改善しない限り、成果は出せないと言うことです。
そのような不安定な仕事をする人は、お客さまやチームから選ばれる続けることはありません。
持続可能な発展を望む相手・組織に対してサービスを提供する場合は、提供側が持続可能な発展を支える人材でサービスを構成している必要があります。
その基準は、グローバル人材教育においても厳しく、教育提供側がそもそも持続可能な成長をサポートすることができる人材なのか?ということが当然問われます。ですから、教育の企画や講義を担当する人は、厳しく選ばれています。
その中で、正しく適材適所できるよう企画者や講師を見極める際は、会話中、いくつかの要素に注意します。その中のひとつが、他責主義者ではなく成長サイクルに既に入っているか?という点です。
他責主義者が持続可能な発展を支える仕事に関わることは、分野・業界問わず、難しいです。
成長サイクルにある人の特徴・見分け方
成長サイクルにある人は簡単に見分けがつきます。
- 常に謙虚な姿勢で自分の能力や内面を疑っている
- 自分も間違いを犯すことがあるという前提で人に接している
- うまく行かなかった事柄を人のせい、環境のせい、景気のせいなどで片付けない
- 人を責めたり、批判することがない
- 自分同様、皆が成長過程にあると思い、他者の能力や可能性を信じている
- 「でも、」「しかし、」「そうなんですが、」という言い訳フレーズが出てこない
実際、世の中には、多くの他責で溢れています。
- 景気が良くなれば、受注が増える
- 案件が変われば、成果は出せる
- クライアントが変われば、評価される
- 部下が変われば、業績は上がる
- 他部署・他組織・他者がちゃんとすれば、この政策はうまくいく
- やる気のない社員が辞めれば、この会社はうまくいく
- 1日が25時間あれば、ちゃんとできる
- お金が充分あれば、争わない
- 相手が優しくなれば、こっちも優しくなる
同じ条件下でも、平和に生き、成果を出し、評価され、信頼されている人は、現にいます。つじつまが合いません。
他責、他者批判からは、自分や相手にとっての前向きな成長や、世の中にとっての持続可能な発展は、なかなか達成できません。他責や批判が相手に及ぼす影響は、自己防衛・自己証明へと向かう本能の刺激であり、建設的な資源・能力の活用から離れます。
以下記事に書いた通りです。
他責主義者には理由がある
しかし、他責主義者のことを非難して終わっていては、あなた自身が他責主義者です。ここで忘れてはいけないことは、他責主義者にも理由があると言うことです。「うまく行かなかった原因を、とにかく自分に見出し、自分の成長へ繋げる」と聞いて、
- 「たしかに!」と前向きに捉える人もいれば
- 「自分に原因があるなんて怖くて考えたくもない」と思う人も実際にいます(口には出しません)
自分に非があることを認められない、自分の課題に目を向けられない人には、ちゃんと理由があります。理由を無視して、「自分の非を認めなさい」と周囲の人が言うなど、まさかしてはいけません。
自分の非を認めたり、課題に目を向けたり、更には、自分の課題を進んで見つけようとする段階に至るには、ステップがあります。それは、自己承認を完了させることです。
自分のことを、素晴らしい存在、自信をもつに値する存在、可能性を信じるべき存在と捉えているから、人は自分の欠点を認識しても平気ですし、むしろ前向きに捉えます。これが、自己承認が完了している場合です。
自己承認が完了していない段階は、心に穴が空いているような状態で、人間は本能で、まずその穴を埋めようとします。成長や他者貢献などは、その後の話です。
今後、持続可能な発展を支えていく人たちが、自己承認していない人の特徴やその背景について理解しておくことはとても大切なので、こちらの記事で確認してみてください。
先生・指導者へ
たとえば、他責の傾向がある生徒や部下に対して、その他責言動を単純に矯正しようとするのは控えてください。本質を踏まえず、行動や発言だけを変えさせて解決しようとすることは、持続可能な成長には決して繋がりません。
また、生徒さんが成長サイクルに入るよう促す場合は、外部の情報(この記事など)を生徒さんに取り入れようとするより先に、ご自分に取り入れてください。
生徒さんたち若い人は、大人の「他責」に対し、非常に敏感です。先生が何か失敗をしても、生徒さんは何も批判的に捉えません。
しかし、先生が失敗の原因を「時間がなくて」とか、「あなたたちの課題に目を通さないといけなかったから」などと他責にした瞬間、生徒さんの心は冷め、その先生を信用できない人と感じています。
たまたま他責の話をした小学4年生の子供たちでさえ、鋭い視点で先生の他責フレーズを聞き、後々まで覚えていると話していました。
生徒さんにとっては、年を重ねても謙虚で、自分の成長ポイントを探しながら生きている大人に日常的に関わることが、何よりの宝です。
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