【投資家はここを重視】企業体質・社員教育/人材の価値開示・人的資本
世界中の投資家が人材の価値を重要視していますが、投資家は何をポイントとして経営陣の意識、従業員体質、社内教育を見ているのでしょうか。
Contents
真の投資家の願い
投資家が、企業の持続可能な発展性を重視しているのは言うまでもなく、政府が定める企業の人的資本に関する情報開示指針は、その一つの手段です。
しかし、真の投資家が願っているのは、投資を考える企業の体質が改善し持続可能な発展をしていくことではなく、持続可能な発展を可能にする組織や人材の体質が世界に根付くことによって、より良い社会を作ることです。
今後、このような視点をもつ投資家は益々増えるでしょう。なぜなら、持続可能な発展性が重要視され始めた以上、世界の投資文化はそこへ行き着くしか道がないからです。
では、投資家が見ている企業体質と社員教育について考えてみましょう。
本質的な体質強化に基づいた取組み・教育
まず、人材の価値の開示に含まれる取組みや教育については、「うわべ」を取り繕うことが目的なのか、開示要求関係なく「本質的な企業体質の強化」を目的としているのかという部分が問われます。
同じ「パワハラ防止のための教育」にしても、その内容が「本当にパワハラの撲滅に繋がるものなのか?」「対処療法に留まっていないか」が重要なのは言うまでもありません。
「多様性の活用」において、「多様な従業員が集っていること」「女性管理職の比率」自体を評価するとは考えられません。「様々な従業員が能力を伸ばし、発揮し、多様性が活用されている状態」を見極めることを投資家は前提としています。
以下項目については、こちらの記事で解説しています。
- 多様性の活用
- 外国人従業員教育
- ハラスメント防止策
- 社員の幸福度向上
- 会社ビジョン・パーパスの見直し
- 企業価値を高めるための従業員教育
投資家が重視する企業体質
企業体質としてまず重要なのが、組織のビジョンです。「ビジョンはあるか、yes or no」などという表面的な所を見ている訳ではありません。
投資家が重視するポイントは5つです。
- ビジョンの質が持続可能な発展を支える内容かどうか
- 経営陣個人のビジョン意識
- 従業員の主体性とビジョン意識
- ビジョンの浸透具合
- ビジョンからの逆算行動の浸透具合
ビジョンがあっても、会社が成長するわけではなく、いくつかの条件が必要です。以下記事にて解説しています。
従業員の意識・体質
次に、従業員の意識・体質も重視しています。ポイントは5つです。
- 従業員の主体性・自己承認力
- 自己承認力から生まれる他者承認力(他者受容力)
- ビジョン意識
- 多様性の活用意識
- 社員幸福度と幸福体質
具体的には、以下のような特徴を注視します。
- 仕事に対する姿勢・目的意識
- 他の従業員・経営陣・顧客に対する意識や言動
- 問題や不満に対する処理能力
- コミュニケーションの質
日本人従業員に対して欧米の教育を参考にし提供している場合、注意が必要です。理由は、こちらの記事で触れています。
社内教育
社内教育については、当然ながら、持続可能な発展を支える人材を生み出そうと意図された教育内容であることが問われます。
簡単に言えば、目先の効果を生み出す内容だけに終始するのではなく、本質的な人材成長に繋がる基盤形成が含まれていることが必須ということです。
これは、教育内容を確認すると同時に、社内で教育企画を担当する人材・部署の資質を問うています。教育に関わる人材や教育者の資質は、リーダーの資質と同水準で問われており、非常に重要なポジションです。
また、人材の基盤がしっかりと築かれている場合、スキルや知識付与以外がテーマの研修の数は減る傾向があります。単純に、研修の数だけを追っていては、本質から外れます。
企業価値を本質的に高めるための教育について、以下記事で解説しています。
取引先従業員の意識・教育
EUでは、取引先の従業員の意識・教育についても人材の価値の開示範囲に含める動きがあります。つまり、取引先従業員の行動・意識・能力、また、外部委託している研修やコンサルティングの品質も、その企業の価値を左右するということになるでしょう。
研修・教育コンサルティング会社の選び方については、以下記事で解説しています。
経営陣の熱意
さいごに大切なのは、発展・改革に対する経営陣の熱意と人間性です。
- 会社を持続可能な発展へ導くことに、どこまで情熱があるのか
- 情熱がありつつも、本質を見極める冷静さを兼ね備えているのか
- 人間性は豊かで、社内一の自己承認力と他者受容力を持ち合わせているのか
- 謙虚で成長意欲に溢れているのか
- 立場問わず人への感謝はあるのか
- その目にビジョンは見えているのか
- 改革の反対勢力を切り捨てる選択なのか、できることを全てやったのか
リーダーの人間性
いかに大国のリーダーでも、その力を戦い・勢力拡大・自国を優先させる利己主義に使い、罪のない市民を苦しめ、他国民の人権を軽視し、自国民を力で押さえ、規則という名の脅迫で国民を誘導するような国家運営をしていれば、持続可能な発展とは程遠いです。
いかに大企業のリーダーでも、社員や社会に対する犠牲や誤魔化しの上で事業を営めば、排除されています。
いかに優秀なリーダーでも、質の低いビジョン意識を掲げていれば、組織を発展へ導くことは不可能と判断され、社員はもちろん、本人さえ知らぬ間に企業価値を下げています。
いかに経験豊富なリーダーでも、うまくいかないことを他責にし、社員や景気を嘆き自己成長を放棄していれば、優秀な人材とお金は離れていきます。
投資家が真に問うているものは、企業の体質・教育・制度などに結果として表れる「リーダーの人間性」です。リーダーがこぞって人間性を高める時代になった、ということです。
良質な営みの元へ豊富な資源を流し、世の中に良質な循環を作ることが、真の投資家が目指しているものです。
投資家の求める基準が、企業や従業員を苦しめるのではなく、社会の発展へ繋がることを願います。
I hope the intention of investors can reach straight up to the leaders.
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