【海外での防犯意識を知る】グローバル化日本の共存社会/警察の防犯教室
本記事では、以下のような疑問にお答えします。
- 外国人と前向きに共存したいが、地域の安全も守りたい
- 危険に遭わないために地域として・個人として、何ができるのか
記事を書いている私は、
- 約20年国際線CAを経験
- 現在は、企業・高校・自治体にてグローバル教育
- グローバル組織創り教育は東京都公共事業に採用
- 観光庁Visit Japan大使との教育事業
- 自治体向けコミュニケーションセミナーは講義中に次回日程が決まるなど、ご好評頂いています(_ _)
グローバル化が進むであろう日本に外国人が来て下さり、私たちは大変助かる一方で、外国の安全意識が日本に入ってくることも当然あります。
情報弱者である外国人にとっての安心安全も大切ですが、同様に、日本人にとっても安全を守ることは大切です。
Contents
日本は安全意識が高い国
海外に行ったことがある方は、心から感じているでしょうが、日本ほど安全意識が高い国はありません。
日本という国は、安全が守られるよう、全てが回っているかのように感じます。
たとえば、
犯罪率
法務省・犯罪白書によると、2017年に日本で発生した殺人事件は307件。
主要国のフランス、ドイツ、英国は800件超、米国は1万7284件です。
殺人の発生率は、米国5.3件、フランス1.3件、英国1.2件、ドイツ1.0件に対して、日本はわずか0.2件です。
※出典:令和2年版犯罪白書(法務省)
交通安全
また、日本ほど交通秩序が守られ、クラクションが滅多に鳴らず、マナー良い運転手が多い国はあるのでしょうか?
日本では、信号のない横断歩道を渡ろうとしている歩行者に気づき、自ら車が止まります。
止まらなくても違反にならないのに、止まります。
横断歩道ではない所を横断しようとする歩行者にさえ、止まってあげる車もいます。
これは本当にAmazingです。
とある外国人の言葉「日本の車は優しい顔に見える」とは、その通りです。
だから、日本人が交通秩序が守られていないアジアの地域などを旅すると、横断歩道ですら何分待っても渡れず困り果て、そして思いつき、地元の人について渡ろうと試み、行きはなんとか渡れ、帰りは一人で渡ろうとすると、バイクに跳ねられてしまうのです。
横断歩道を渡るとは、命がけです。
衛生
日本人の衛生管理も世界的に見てピカイチです。
日系航空会社で働く国際線のCAは、アジア地域へ行っても、屋台での飲食は禁止されています。
お腹を壊すからです。
なぜ日本は安全なのか
日本はなぜ安全な国なのでしょうか?
「心配性の遺伝子」のおかげ
日本が安全なのは、日本人が心配性である賜です!
事故に遭わないために、病気にならないために、今ある幸せを失わないために、日本人は危機管理が得意です。
セロトニントランスポーターSS型という「心配性の遺伝子」が多い日本人の特徴のお陰です。
その代わり、ラテンの明るさやポジティブさが極端に少なく、世界的に見ても幸福を感じやすい体質ではありません。
でも、安全に暮らせるのですから、最高です。安全が幸せに繋がるのですよ。
トランスポーターSS、万歳です。
「和を重んじる気質」のおかげ
遺伝子以外の理由として、日本人の「和を重んじる」価値感が大きいと思います。
自分以外の人のことを、当然のように意識して行動します。
混んでいても、急いでいても、日本人は行列に並びます。自分だけが追い越しをしては、他の人に悪いし、調和が乱れるからです。皆だって並びたくないのに並んでいるんだから・・・です。
無意識に、人のこと、調和を意識した行動を取るのが日本人です。
そんなの当たり前?と思うかもしれませんが、そんなことはありません。
追い越しが当然の国も、人の事情や気持ちを考えて自分の行動を決めるなど物珍しい国も、調和など一人で意識していたってたかが知れているという国も、世界には多くあります。
警察に捕まるわけでもないのに、自らを律し、列に習うのが日本人です。
このような日本人の素晴らしい気質は安全を維持しやすいと感じます。
日本人気質はなぜ身についたのか
日本人には、このような日本人気質が、なぜ身についているのでしょうか?
なぜ、多くの日本人は、
- 列に並ぶことを当然と思い込んでいるのか?
- 困ったときはお互い様だと思い込んでいるのか?
- 人を困らす身勝手な行為は良くないと思い込んでいるのか?
- 自分が欲しいものは皆も欲しいのだから、と考え欲張らないのか?
- 誰かが犠牲になることに敏感で、調和を保ちたいと思ってしまうのか?
なぜですか?
たまたま日本に生まれたから
きっとそれは、単純に、
- 日本に生まれたから
- 日本で育ったから
- 日本人と多く関わってきたから です。
生まれる前に、「日本人らしくありたい」と願い、日本を選び生まれたなどではなく、たまたま日本に生まれたからです。
グローバル化する日本に入る様々な価値感
国や地域がグローバル化すれば、当然、外国の安全意識が日本に入ってきます。
それが日本にとってプラスに働くこともあれば、マイナスに働くこともあるでしょう。
ここは是非、トランスポーターSSを多く保有する日本人らしく、完璧に安全を維持することは難しいと考え、日本人が自分の身を守るための行動を知っておいてもよいと思います。
しかし、ここで忘れてはいけないことがあります。
それは、「安全な日本に危険を持ち込む外国人」という捉え方をしないということです。
外国人を批判して得られる結果
「外国人=危険を持ち込む人」などという考えをもつことは、日本の中に、人々の分断を生みます。
分断は、団結を生みます。
固い団結は、日本人が望む調和を不可能にします。
外国人の力を借りて社会を構成し、共存共栄を願うのが日本・日本人なのであれば、外国人のことを批判的に捉えるのは控えましょう。
「○○人は危ない」「○○人は怖い」、まさかこのような言葉が家庭内で、地域内で、組織内で行き交うことのないように。
日本人がもつ調和の意識を、日本にいる外国人がたとえ持っていなくても、ここは日本です。
圧倒的多数の調和の意識は、全てを包み込み、調和で地を慣らすことができると思います。
そのために、日本人が堂々と調和を重んじることと、批判から生まれる結果を正しく理解していることが大切です。
外国人の安全意識は外国人個人以外にも理由がある
もし外国人が犯罪を犯せば、それは、国籍等関係なく、犯罪を犯す人が悪いと思います。
しかし、もし外国人の安全意識に疑問を抱くことがあった場合は、その人たちの価値感を構成した文化背景にも理由があるのだということを思い出しつつ、ここ日本でのルールを、相手にとって分かりやすく共有しましょう。
私たち日本人が、日本人気質を身につけた背景を思い出しながら。
ということを踏まえ、防犯について考えてみましょう。
防犯のためにできること
防犯のためにできることや、大切なことは何でしょうか。
日本の警察に教わる
日本の警察官は、怪しいと思った人であっても、最初から悪と決めつけず、相手を尊重したアプローチをします。
「最初から相手を悪と決めつける行為」イコール、一方的な攻撃・いじめ・差別ですから、「最初から悪と決めつけない姿勢」は、その国を構成する風土を築く上で、非常に重要です。
日本にいれば、これが普通と思うでしょうが、そんなことは、全くありません。
日本の警察は、本当に、強く優しく、調和維持に長けていると思います。
警視庁 生活安全局生活安全企画課「自主防犯ボランティア活動支援サイト」はこちら
相手を悪と決めつけない防犯意識
相手を悪と決めつけない意識を持った防犯こそ、グローバル化する日本で日本人が学ぶべきものです。
相手への攻撃や、防御を学ぶための講習で、主催者側が、テクニックを教えることに終始しているような内容であれば、それを住民が受講することは、よく考えた方が良いでしょう。
そのような講習では、講師は受講者に対して、「敵が来たら」「外国人が襲ってきたら」などと言いながら教えます。
テクニックしか見えていない武術講師は、共存社会作りには不向きだと思います。
防犯のための講習は、警察にお願いするのが一番だと思います。
海外での防犯対策・意識を知る
必要以上に防犯意識を高めることに対しては、色々な意見があるでしょう。
ただ、海外ではどのような防犯意識があるのかを知っておくこと自体は、グローバル化が進むであろう日本に住む人にとって、無駄にはならないと思います。
海外で危険に遭いにくい人
たとえば、日本人が海外へ行く場合、危険に遭いやすい人・遭いにくい人がいます。
CAは滅多に危険に遭わない
CAとして様々な国に20年程行き来していれば、数多くの危険察知・防犯意識が身につきます。
ナンパ、スリ、置き引き、ぼったくり、後をつけられる、待ち伏せ、盗撮などは当たり前です。
外国人にとって日本人は見分けがつきやすく、海外では狙われやすい存在です。
しかし、CAは滅多に被害に遭いません。なぜなら、
- そもそも目をつけられないようにしている
- もし、目をつけられたとしても、そのことに気がついている
- 危険が身に及ぶ前に取るべき行動を知っている
- 気のせいとして済ませられそうな小さな危険でも、会社が全力で対応している
トラブルに遭ったら大ごと
CAやパイロットがステイ先で危険な目に遭い、警察や病院へ行くようなことになれば、日本行きのフライトが大幅ディレイになりかねず、それはそれは大変なことだ・・・と、CAは新人のうちに叩き込まれます。
同時に、防犯意識も、先輩から業務と同じように教わります。
ですから、国際線CAにとって、防犯意識を持ち身を守ることは、仕事のうちなのです。
海外での防犯行動・防犯意識例
海外で危険に遭わず過ごすCAたちの工夫を、以下項目でご紹介します。
- 狙われないために
- 怪しい人を察知するために
- 危険の芽を摘むために
これからご紹介するものは、あくまでも、
- CA視点による防犯です
- 日本にいる外国人への警戒心を高めるためのものではありません
- 海外を行き来する日本人が当たり前にもっている防犯意識を紹介するものです
1.狙われないために
悪い人が誰かに目をつける理由は、金品を奪うため、襲うため、連れ去るためなどが考えられます。
ですから、金品に乏しく、襲われにくく、連れ去られにくくあることが大切です。
全般
- 着飾らない・地元の人に馴染んだ格好をする
- 貴重品が入っている鞄・ポーチを、貴重品が入っているように扱わない
- その地に不慣れだと見られ易い行為を避ける(マップを目につくようにもつ等しない)
- 鞄からのお財布の出し入れは、なるべく周りから見られないようにする
- 差別的な単語を知らぬ間に口にしてしまわないよう、頭に入れておく
- 何度か見かける顔は覚える
- 何度か見かけた顔の人が話しかけてきたら警戒する
- 積極的に友達を作ろうとしない・出会いを求めない
- 良く分からないのにyesと言わない
- 良く分からないのについて行かない
- 現地の言語が分からないことに、一切引け目を感じない
- 外国人同士に油断しない(アメリカで会った同じアジア人同士など)
- 念のため防犯グッズを携帯する
ホテルにて
- ルームキーは、記載されている部屋番号が周りから見られないように持つ
- フロントとの会話は周りに聞かれないようにする(名前・部屋番号・旅程等の情報)
- 部屋に入る所をなるべく見られないようにする
- すぐ近くに人がいる状態では、自分の部屋に入らない
- 静かに部屋を出るなどし、外出中を悟られないようにする
レストランにて
- 貴重品をもって席を立つ(化粧室・ブッフェ)
- 席を立つときは、全員で席を離れず、誰か一人は残る
- 足元に荷物を置かない
- テーブルチェックでクレジットカードを預ける時は、(店によっては)店員の姿を目で追う
- 大きな声で話さない
- 酔わない
- 酔ってもシャンとする
- お店を後にしたら、その場にダラダラと留まらない
- 割り勘の精算は後日する
- 化粧室に立つ時、同じタイミングで席を立った男性がいたら、タイミングをずらして化粧室へ向かう
エレベーターにて
- 危険を感じたら、乗り込まない(男性と女性の自分が二人きり・複数の男性と女性の自分だけなど)
- 危険を感じたら、用のない階でも降りる
- なるべく後方に立つ
- スマホを覗き込まれない
街中にて
- 路上に面したATMはなるべく使わない
- ダラダラ歩かず、スタスタ歩く
- 不幸そうな顔をして歩かない
- 極端に幸せそうな顔をして歩かない
- 顔を上げ、広い視野と目的意識をもって歩く
- 目が合ったら軽く頷き挨拶を交わす土地では郷に従いつつ、目を離すタイミングを気持ち早めにし、歩く速度を落とさない
- 友達との会話に夢中にならない
- 人の多い道や交差点では、リュックは前に持つ
- 不慣れな土地であれば、イヤホンをつけない
- 夜は出歩かない
- 危険な地区は昼間でも出歩かない
- 人のことをジロジロ見ない
- 路肩に駐車している車のすぐ側を歩かず、建物側を歩く
- 窓が黒い車の動きに注意を払う
- 横断歩道の渡り方は、地元の人の真似をする
- 困ったことが起こっても、慌てない
- 困ったことが起こり助けが必要なときは、声を掛ける相手は自分で選ぶ
- 話しかけられたら答えつつ、踏み込んで来そうな予感がしたら、笑顔でThank you!と言い、すぐさま続けて急ぎ顔でbut I have to go.と言い立ち去る
- 言葉を交わした他人から立ち去る際は、名残惜しそうな顔をせず、次を見る
- ナンパらしき声掛けには、優しくも凜々しい表情で聞こえぬふりをするか、頷くだけに留める
- ナンパらしき声掛けがしつこかった場合は、近くの店に入る・スマホで話し待ち合わせを装う・近くを歩いている良い人そうな男性にピッタリついて歩く
- 口笛による呼び止めは、聞こえぬふりをする
- Japanese? や、コンニチワと声を掛けられたら、歯を見せぬ笑顔で優しく目を見て短く返答するか頷く
- 物売りの人から声を掛けられ、買う気がない場合は、歯を見せぬ笑顔でNo, but thank you.とゆっくりハッキリ言う
このような、狙われないためのちょっとした行動は、効果を証明することは難しく、取り越し苦労もあると思いますが、行動を積み重ねることと、小さな防犯意識を自然に持っていることが大切だと思います。
百聞は一見にしかず。自治体向けのコミュニケーションセミナーの中でご紹介しています↓
2.怪しい人を察知するために
怪しい人には特徴がありますが、その特徴をもつ人がとても良い人である場合もあります。
ですから、基本的には良い人だと思いつつ、以下のような特徴がある人がいた場合は、ほんの少し気に留めるようにしています。
- やたら目が合う
- 短期間・短時間に何度か見かける
- 知り合いかのように名前を呼んできた
- 勝手に何かを奢ってくる・物をくれる
- 親切過ぎる
- 急に距離を縮めてくる
- 自分に歩くスピードを合わせている気がする
- スペースがある場所なのにぶつかってきた
- スペースがある歩道なのにスレスレの距離ですれ違おうとする
- すれ違いざまに、どこかで会ったと言ってくる
- 外国人の自分に道を尋ねてくる
- 冬なのに薄着、夏なのに厚着
- 服装と鞄のテイストが掛け離れている
- 目深に帽子を被っている
- 高級感を前面に出した装い
- 一人だけ汗をかいている
- 目が怪しい・視点が定まっていない
- 独り言や文句をブツブツ言っている
- 財布を大袈裟に開けたり、すぐに閉じず、お金持ちアピールをする
- ブラックカードの扱いで人目を引く
- 人脈の広さ・武勇伝・社名が断定できるように自分の話をしている
基本的には良い人だと思っているこちらのスタンスが、要らぬトラブルを避けることもありますので、警戒しすぎないように。
3.危険の芽を摘むために
少しでも危険を感じたら、信頼できる機関・組織に報告します。
私が働いていた航空会社では、少しでもヒヤッとしたこと、怪しいと感じたことがあれば、CAは会社へ報告します。
会社は、直後から当該地域へ行くCAにヒヤッと情報と具体的な防犯対策を共有し、実際の状況を一定期間報告させます。
同時に、場合によっては、宿泊ホテルなどに防犯依頼をします。
何かが起こる前に、無駄骨でも良いので、できる手は全て打ち、海外に滞在するCAとパイロットの安全を守っていました。
最低限の防犯意識はもちつつ、共存社会を実現していきましょう。
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