ドリームハラスメントによって夢から遠ざかる若者の実態/原因と対策
本記事では、以下のような疑問を解決します。
- ドリームハラスメントとは?
- 若者が「ドリハラ」と受け取る理由
- 若者が自ら夢やビジョンを抱くには?
記事を書いている私は、グローバル人材教育 コンサルタントです。
- 20年以上グローバル人材マネジメント・育成・採用を経験
- 現在は、企業・学校・自治体にてグローバル人材・組織教育
- グローバル組織創り教育は東京都公共事業に採用
ドリームハラスメントによって夢から遠ざかる若者の実態/原因と対策
ドリームハラスメントとは
ドリームハラスメントとは、言われた側に苦しみを生み出す、夢を持つことを薦める行為です。
実際、大人による以下のような行為があります。
- 親や教師などの大人が、子供や学生に対し、悪気なく夢を持つよう薦める
- 夢に向かって努力している学生と比べる
- 「夢がなければ将来✖✖になる」などと脅される
- 成功者を引き合いに出し、「彼らは夢があるから成功した」と暗に夢を抱くよう強制する
- 「夢が見つかったら教えてあげる」と、指導を受けるための条件にする
結果として、夢を抱こうにも抱けない若者は、夢が描けない自分をダメな人間だなどと感じ苦しむことがあります。
ドリハラの仕組み
ドリハラは、以下のような仕組みで起こります。
大人(若者に夢をもってほしい)
➡「夢を持とう!」「持つべき!」などと言う(効果的ではない関わり)
➡若者(負担に感じる)
誤った原因分析
これは、大人が「若者が夢を持った方が良いと思う」こと自体が原因だと考えられ易いのですが、それは違います。
若者が夢やビジョンを持たないよりも、持って生きた方が、若者自身の能力の発揮・有効活用にとっても、より良い社会作りにとっても、プラスに働くことは多いでしょう。
大人が、若者が夢を持った方が良いと思うこと自体は誤ってはいません。
ドリハラが生まれない仕組み
「若者が夢を持った方が良いな」と思う大人に見守られながら、若者が自ら夢を抱くようになる時とは、どのような時なのでしょうか。
大人(若者に夢をもってほしい)
➡○○をする(効果的な関わり)
➡若者(自分の能力を認識・可能性に気づく・自分の活かし方を考える・夢やビジョンを抱く)
ドリハラを生む場合の大人と、願いは同じ、「若者に夢をもってほしい」です。
しかし、若者が辿り着く結果が真逆です。
その差は、大人が若者にどのような関わり方をしているか?です。
「夢を持とう」と言う関わり方なのか、若者が自ら夢を抱くような関わり方なのか、です。
若者に○○をすれば良い
若者が自ら夢を抱くような関わり方とは、以下の3ステップです。
- 大人自らがビジョンをもち、目の前の仕事・活動に力を尽くしている
- 大人自らが自己承認し、そこから生まれる他者承認力を得る(=若者など関わる人を承認する力)
- 大人は、若者の自己承認力が高まるような関わりをする
「○○をする」=「若者の自己承認力が高まるような関わりをする」です。
ドリハラ真の原因
ドリハラが生まれる原因は、「大人が若者に夢・ビジョンを抱くことを望んでしまうこと」などではなく、「若者が夢・ビジョンを抱くような関わり方をしていないこと」です。
それはつまり、大人が上記ステップ1~3を踏まえていない可能性が高いということです。
1.大人自身はビジョンがあるのか
「1.大人自らがビジョンを抱き、目の前の仕事・活動に力を尽くしていない可能性がある」
自身がビジョンを抱き、能力をビジョンのために最大限に活かしている自覚がある大人は以下を自覚しているはずです。
- 自分の能力を活かすためのビジョンは、模索や葛藤・助けなどを経て、自らの力で見つけ出す
- 自分の能力が最大限活きる時の条件・環境は、主体性が基礎になる
- 確固たる主体性は、自己承認から生まれる
これらを、人生の通過点として生きてきた大人だから、理解していることかもしれません。
「夢を抱くべき」「ビジョンをもつべき」と考え若者に接している大人は、夢やビジョンが持つ効果、抱くまでの道のりなどを我が身を以て理解していない可能性があります。
大人自らがビジョンを抱き、目の前の仕事・活動に力を尽くすことが大切です。
2.大人自身は自己承認しているのか
「2.大人自らが自己承認し、そこから生まれる他者承認力を得る(=若者など関わる人を承認する力)」
自己承認とは、自分のことを良い面も悪い面もありのまま受入れ、認め、大切に扱い、そして自分の可能性を信じていることです。
人の主体性が高まる時や、ビジョンを抱く時、抱いたビジョンに向けて力がうまく発揮される時は、本人が自己承認している時です。
また、他者が成長するために大切な関わり方として他者を認める力(他者承認力)が必要ですが、この力は、自己承認不足の人からは生まれません。
他者承認力は、自己承認を完了させた人が得られる能力です。
若者に対して「~すべき」「もっと~しないと後で困るよ」などと期待・指導する人は、目の前の若者の今をありのまま受入れ、認め、可能性を信じられていないことが背景にあると思います。
それはつまり、大人本人が自己承認できていないことになります。
自己承認し他者承認力を得る方法については以下記事にて解説しています。
3.自己承認力を高める関わり方を理解しているのか
「3.大人は、若者の自己承認力が高まるような関わりをする」
上記ステップ1と2を踏まえていれば、目の前の若者の自己承認力を高めることの重要性も、そのための関わり方も理解しているでしょう。
- 「夢・ビジョンを抱くべき」という押しつけ
- 「~しないと自分が困るよ」という脅し
- 「○○さんは~しているよ」という比較
これらが若者の可能性を引き出すことはないと理解していると思います。
そして、
これらを大人自身が追求し、答えを見出しているでしょう。
結果として、
- 若者が自分の良さを認識すること
- 若者が自分の課題を前向きに捉えること
- 若者が自分の特徴全てに意味があると気づくこと
- 若者が自分の能力をビジョンへ繋げること
これらを意識した関わり方を大切にしているでしょう。
さいごに
教育を通して感じることは、若者・子供は、大人が思っている以上に、自分の人生について前向きに考えていますし、葛藤を乗り越えようとしているということです。
人生を振り返れば、若い頃から今に至るまで葛藤と成長を繰り返し、今の仕事に辿り着き、自分の能力を存分に発揮し、色々ありながらも充実した日々を送っている大人であれば、自分同様、きっと若者も葛藤と成長を繰り返しながら人生を築くものだと思っているものです。
放っておいても、若者は自分でより良い人生を作っていくでしょうし、今の大人が若い頃よりもしっかりしているように見える今の若者たちならば、私たち大人が想像する「良い人生」を遙かに超えた人生を送るかもしれません。
ですから、若者の可能性を前に、私たち大人にお節介な関わりなど必要ないのかもしれません。
できる関わりがあるとすれば、前述の3ステップです。
- 大人自らがビジョンをもち、目の前の仕事・活動に力を尽くす
- 大人自らが自己承認し、そこから生まれる他者承認力を得る
- 若者の自己承認力が高まるような関わりをする
「夢を持て!」など、言う必要ないかもしれませんね。
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