本記事では、以下の疑問にお答えします。

  • 接客スタッフにとっての「良いマニュアル」とは?
  • 独自でマニュアルを制作する際のポイントは?
  • 今すぐ使える接客マニュアルが欲しい

 

【外国人客対応マニュアル】制作時5つのポイントと英語対応資料

【外国人客対応マニュアル】制作時5つのポイントと英語対応資料

外国人対応を行う場合、英語接客マニュアルがあれば助かる場合があると思います。

会社独自でマニュアルを作成している場合もありますし、まずは基本的な接客英語マニュアルが欲しい、という場合もあるでしょう。

ここでは、外国人対応を行う方に役立つマニュアルについて解説します。

 

独自マニュアル作成時の重要ポイント

会社独自のマニュアルを制作する場合のポイントは、スタッフの行動を規制・統一するためではなく、スタッフの心を動かすマニュアルを作ることです。

 

マニュアルとは、基本的に業務手順などが書いてあり、小説ではありません。

スタッフの心を動かすことなど、マニュアルの役目ではないと思われるかもしれません。

 

しかし、実際、スタッフの可能性・発想・意欲を知らぬ間に減退させるマニュアルはあります。

そして、実際、基本的には業務手順しか書かれていないマニュアルを手に、自分たちなりの仕事を模索する心が生まれるマニュアルもあります。

 

同じ「マニュアル」でも、異なる効果を生みます。

それは、マニュアル制作者の意図が異なるからです。

◆顧客対応を行うスタッフのためのマニュアルの役割

  • 大勢の社スタッフ員が一つの方向を向くことを促す(ビジョンからの逆算内容)
  • 頼りすぎることなく、自立思考のスタッフを生み出す

 

独自マニュアル制作時5つのポイント

  1. マニュアルの内容は、会社が目指すべきサービスビジョンから逆算された内容
  2. スタッフが自由に発想するために最低限必要なルール(行動決断における指標の優先順位)が明確
  3. スタッフの自立思考を促すマニュアル
  4. 現場スタッフの立場に立った活用しやすい内容
  5. お客さまの安心安全の提供を大前提とする

 

①ビジョンから逆算された内容

お客さまへ良いサービスを安定提供できるスタッフの共通点は、「何のための仕事か」という目的意識がしっかりしていることです。

これは、ビジョンが心に根付いた状態で仕事をしているからです。

「ビジョンがある人・ない人」記事はこちらから

 

ですから、スタッフ一人一人が、ビジョンを日頃から意識し、できるだけ自分に根付かせることが大切です。

それは、ビジョンの教育や周囲の先輩からの影響を受けること以外に、マニュアルの力を使うことで根付かせることを後押しすることも可能です。

 

たとえば、業務に必要な情報を調べようとマニュアルを手に取れば、疑問が解決すると同時に、「何のための仕事か」「何を目指してスタッフは皆ここで働いているのか」というビジョン・目的意識が自然と意識に残るようにすると良いでしょう。

 

また、マニュアルは10社10色です。

たとえば、百貨店A社の従業員マニュアルは、百貨店B社のマニュアルでは代用できません。なぜなら、A社とB社はどちらも百貨店ではありますが、異なるビジョンを掲げ、異なる強み・価値観・従業員を抱えているからです。

顧客対応を行う従業員が、仕事で成果を生みやすくなるためのマニュアルは、現場の声を反映するだけでは完成しません。会社のビジョン、現状課題、従業員やお客さまの特徴等を分析した上で作成しなければいけません。

 

②最低限必要なルールは明確になっているか

業務中のスタッフが、自分の行動を決める際に欠かせない判断基準と、その中での優先順位が明確であることが大切です。

これは、スタッフの中に安心感と業務への自信を生み出します。

 

たとえば、悪質なクレーム対応に関する以下の2社を比べてみます。

  • A社・・・業務手順や判断基準が明確に設定されている(ガイドラインあり
  • B社・・・マニュアルはなく、スタッフに任せている(ガイドラインなし

 

悪質なクレームに対するガイドラインがあることは、スタッフに無駄な労力や時間を使わせずに済み、最低限の時間で最適の対応を可能にします。

それは結果として、スタッフ間に自信と誇りを生み、業務品質を高めることにも、スタッフの精神的負担を排除することに繋がり、更にその状態は、当然ながら、顧客対応の品質を高めていきます。

 

③スタッフの自立思考を促すマニュアル

トラブル対応に関しては細かく手順が書かれていることで、防げる不利益があります。

しかし、スタッフにマニュアルを渡す際に必ず踏まえるべきステップがあります。

◆会社が、マニュアル配布とセットで必ず行うべきこと

「会社は、現場で直接対応にあたっているスタッフの判断を、(全面的に)尊重する」という大前提を、しっかりと伝える

 

 

これは、特に大切な手順であり、そのためには、会社・上司が、この姿勢で統一されていることが必要です。

 

実は、スタッフの自立思考を促すためには、「顧客対応に正解・不正解はない」という自由闊達な風土が不可欠です。

その現場に居合わせた責任者がこれがベストだと判断したことを、その場におらず、責任者としての対応もしていない外野が「もっとこうすべきだった」等と言えません。

大切なことは、お客さま対応に、正解不正解はないということを、責任者も会社も理解しておくことです。

 

現場で必死に顧客対応をした責任者やスタッフが、オフィスに戻り、上司から「そういう時は○○しなければいけなかったのに」などと言われるような組織では、顧客対応の質は上がりにくいです。

◆顧客満足度が低い組織の状態

  • 上司から自分が行った対応を非難される
  • 自分の頑張り・必死さ・辛さを理解してもらえない

 

この状況は、本人の中に「承認欲求」を残します。

承認欲求を抱えた人は、頑張る理由が「認められて自分の心の穴を埋めるため」「相手を見返すため」となり易く、「自己証明」「自己防衛」「自己実現」のために意識・行動を費やします。

それはつまり、意識がお客さまへの価値提供に集中しておらず、この状態から良質な顧客対応は生まれにくいです。

【自己承認シート】自分を認めて初めて他者承認力を得る【主体性の確立】

自己承認とは

 

 

ですから、まずは「お客さまのことを考え、自分なりにベストだと思い取った行動に正解・不正解はない」という前提を組織で共有することが大切です。

 

④現場スタッフの立場に立った活用しやすい内容

当然ながら、マニュアルは使う人が使いやすい内容であることが大切です。

タイムリーに最新情報がアップデートされること、各ページの最新版が一目で確認できることを踏まえることは、サービス品質に大きな影響を与えます。

 

⑤お客さまの安心安全の提供を大前提とする

良いサービスの提供は、お客さまの安心安全を提供した上で成り立つという大前提があります。

特に、情報弱者である外国人のお客さまへ安心安全の提供が出来るということは、大きな価値です。

サービス提供だけが業務だと捉えている会社は、方針を変更し、「安心安全の提供」を大前提にしましょう。

そのような企業姿勢が、お客さまへの真の価値提供を可能にし、結果として、自社の持続可能な発展にも繋がります。

 

ページ下部にて、「外国人へ安心安全の提供」を目的とした基本的な内容のマニュアルをご紹介します。

 

昨今、多くの接客現場スタッフから求められているものは、インバウンド顧客対応マニュアルです。

基本接客対応から、接客英語や中国語、国や地域別異文化知識、トラブルクレーム対応、安心安全管理行動、指差し多言語シート等、基本を踏まえつつ、現場に合ったマニュアルが大切ですが、その現場に合った、スタッフが実際に活用できる、その会社が目指す成果を生むマニュアルは、残念ながら既存にはありません。

しかし、良質なマニュアルを創り上げれば、会社は教育に掛ける労力を今までより減らしても、スタッフが自走していくのを感じるかもしれません。

 

接客上級者にとっての「マニュアルの位置づけ」

ここで、接客上級者の「マニュアルの位置づけ」について考えてみます。

 

「マニュアル人間」という言葉は、良い意味ではありません。「マニュアルに書いてあることしかできない」という意味だからです。

しかしながら、外国人客対応の上級者たちは、ある意味、「マニュアル人間」と言えるかもしれません。

「マニュアルに書かれていることは最低限、しっかりと頭に入れ、最新情報が出れば必ずコマメに知識をリバイスする」、「マニュアルのどこに何が書かれているか、頭に入っている」、それほど、マニュアルが傍にあるからです。

マニュアルに書かれている基本が、しっかりと理解できています。

 

ただし、当然ここでは終わりません。

基本をベースとしながら、自分の引き出しには何百通りもの対応、蓄積された経験のデータ、そこから生まれる「心の豊かさ」を兼ね備えた仕事が出来ること、それが国籍問わずお客さまの心に届くサービスを提供する上級者です。

トラブル対応時は、現場での行動決断時に指標となる判断基準は丁寧にマニュアルを読み、頭に入れますが、それ以外は臨機応変に、分の中のしっかりとした理由に基づいて、一つ一つの決断と対応を、迅速に行う力、これを身に付けることが重要です。

そのために、プロが日頃からどのようなことを行っているか、身近なプロを観察し、リサーチしてみましょう。

 

基本的な接客に使える無料マニュアル

地方自治体などが無料で配布している英語(多言語)接客マニュアルを活用してはいかがでしょうか。

自由にダウンロードして使える、基本的な英語(多言語)接客マニュアルをご紹介します。

基本的な対応であれば、これらのマニュアルがとても役に立ちます。

 

接客の英会話

接客英語をすぐに学びたい人に向いている1冊をご紹介します。


 

 

◇この本のポイント

  • ショップ・レストラン・トラブル対応の基本的な単語とフレーズが充分学べる
  • 状況設定が細かく、あらゆる場面で使える
  • 基礎力がなくても、英語にはカタカナで読み方がふってある

 

◇活用方法例

  • 字が大きく見やすいので、接客時は、指さしシートとして活用し外国人とコミュニケーションを取る
  • 業務の時系列に沿っていくつかの表現をピックアップしA4紙等にまとめ、すぐに活用できるようにし、スタッフ間で共有する

 

「【グローバル人材リアルな学習法】実践で使える英語の必須3要素」記事はこちらから

 

マニュアルで基礎を 実践で実力を

マニュアルは、あくまでもマニュアルです。

マニュアルに記載されていることを全て頭に入れたスタッフ、イコール、実力あるスタッフではありません。

外国人のお客さまの満足度を上げ、売上げやリピート率を上げるスタッフは、マニュアルに書かれていることを自分の基盤としながら、その場に合った最適な対応を、自ら考えて行うスタッフです。

そして、それが自然と身に付き、その背中で他のスタッフを教育できるスタッフが求められています

そのためには、顧客対応のマニュアルは、上記5つのポイントを踏まえ、スタッフの判断基準等を明確に示しながら、スタッフの自立型思考を促すような内容であることが大切です。

その上で、外国人顧客対応の実力と指導力の両方を兼ね備えた先輩社員が後輩を育成することが理想です

 

「外国人客とのトラブル、英語の使い方と対応者の意識」記事はこちらから

 

従業員の能力を「育てる」 E-learning

また、既存の多くのマニュアルは、勝手に進化することはありません。一度内容を定めたら、改訂時期までそのままです。

しかし、このことが、マニュアルが現場の現状に追いついていない現実や、大切な情報が適切な時期に従業員に届かない現実、有益な情報が活用されていない現実を作っていることがあります。

 

E-learningは、スタッフの外国人顧客対応能力向上に必要なスキルや情報がいつでも簡単に自身のスマホなどで学べたり、現場での成功事例を積極的に収集し、部門を超えて有益な情報を横展開する仕組みによって全てのスタッフがあらゆるノウハウをタイムロスなく簡単に学べる、という特徴があると良いと思います。

スタッフの疑問にはタイムリーに専門家や外部講師が回答を出すという特徴を加えることができれば、スタッフのモチベーションアップにも大きく繋がるでしょう。

 

外国人顧客対応 e-learning

 

無料マニュアル「安心安全の提供が大前提」

さいごに、サービスよりも大切な「外国人へ安心安全の提供」を目的とした基本的な内容のマニュアルをご紹介します。

独自にアレンジするなどして、「安心安全の提供を大前提」とするマニュアルや取組みを定着させましょう。

 

①外国人の方へ「安心安全の提供」を英語シート

外国人の方へ「安心安全の提供」を

PDF資料「外国人の方へ安心安全の提供を」はこちらから

 

②飲食店用アレルギー確認シート

PDF資料「アレルギーの確認シート」はこちらから

 

③体調不良のお客さまへのヒアリングシート

PDF資料「体調不良のお客さまへの聞き取りシート」はこちらから

 

④地震など発生時の館内放送英語アナウンス

PDF資料「地震等発生時の館内アナウンス」はこちらから

 

⑤空港向け

PDF資料「空港 接客英語シート」はこちらから

 

⑥電車内英語アナウンス

PDF資料「イレギュラー時の電車内アナウンス」はこちらから

 

⑦美容サロン英語対応

PDF資料「サロンにおける外国人のお客さま対応基本英語」はこちらから

 

ご参考になれば幸いです。