【2021年最新版】グローバル人材の定義と必須6大要素「あなたの育成能力も診断」

本記事では、以下の疑問にお答えします。

  • グローバル人材にとって必要な能力や要素がイマイチ整理できない
  • グローバル人材の育て方が分からない。何から始めれば良いの?
  • 指導者の心得が知りたい

 

このような方へ向けて書いています。

  • グローバル人材を育てる立場にある方
  • グローバル人材を育てる人を育てる方

記事を書いている私は、

  • 20年以上グローバル人材マネジメント・育成・採用を経験
  • 現在は、企業・高校・自治体にてグローバル教育
  • グローバル組織創り教育は東京都公共事業に採用
  • 学校や自治体向けのコミュニケーションセミナーは、講義中に既に次回日程が決まるなど、ご好評頂いています(_ _)

 

それでは、グローバル人材に必須の要素と、その育成に関わる人に必要な情報を解説していきます。

【2021年最新版】グローバル人材の定義と必須6大要素「あなたの育成能力も診断」

【2021年最新版】グローバル人材の定義と必須6大要素「あなたの育成能力も診断」

 

グローバル人材に必要な要素は大きく分けて6つです。

1.主体性(自分を知り、評価し大切にしている、主体的な姿勢や言動)

2.ビジョン意識(目的意識、使命感、理想からの逆算行動)

3.多様性(異文化受容と理解、自文化に対する理解と思い、グローバルに対する認識)

4.協調性(成果が出る仕組み、チームの力の理解、コミュニケーション)

5.精神性(感謝・尊重・承認・思いやり・ビジョンに基づく行動・安定)

6.知識・スキル(語学力・専門知識・マナー・リーダーシップ・PDCA)

 

 

順番に解説する前に、「グローバル人材」の定義について確認します。

 

はじめに「グローバル人材の定義」

「グローバル人材」の定義の確認します。

 

◆文部科学省の定義

初等中等教育でグローバル人材の育成を目指す文部科学省は、「グローバル人材」を以下のように定義しています。

「グローバル化が進展している世界の中で、主体的に物事を考え多様なバックグラウンドをもつ同僚、取引先、顧客等に自分の考えを分かりやすく伝え、文化的・歴史的なバックグラウンドに由来する価値観や特性の差異を乗り越えて相手の立場に立って互いを理解し、更にはそうした差異からそれぞれの強みを引き出して活用し、相乗効果を生み出して、新しい価値を生み出すことができる人材。」

参考 文部科学省「グローバル人材の育成について」

 

キーワードとしては、

主体的・多様・分かりやすく伝える・相手の立場に立って・それぞれの強みを引き出して活用・新しい価値を生む。

これらを可能にするのがグローバル人材に必要な6大要素です。

 

それでは、要素を順番にポイント解説していきます。

 

①主体性

◆主体性のテーマ

  • 自分を知っているか
  • 自分を評価し大切にしているか
  • 自分の可能性を信じているか
  • 主体的な姿勢や言動か

 

まず、言葉の意味を確認します。

◇主体とは

「自覚や意志に基づいて行動したり作用を他に及ぼしたりするもの」

「物事を構成するうえで中心となっているもの」

◇主体性とは

「自分の意志・判断で行動しようとする態度」

 

 

「主体=本当の自分」を知っていること

主体を知ることは、特に日本の教育ではあまり重要視されず、多くの人にとって手つかずとも言える分野ですが、グローバル環境やこれからの時代で活躍することを目指す場合、「主体を知らない」「自分のことは、まぁ何となく分かっている」という状態は、しっかりと脱している必要があります。

 

主体は、「主体を見つけようとすること」と「周囲・外部からの手助けを借りること」によって見つかっていきますが、一度見つけたら終わりではなく、成長と共に、年を取っても、新しい主体が見つかっていきます。

  • 「主体=本当の自分」を知ることが、活躍する人材になるための最初の一歩
  •  成長と共に、年を取っても、新しい主体が見つかっていく
  • 主体は、「主体を見つけようとすること」と「周囲・外部からの手助けを借りること」によって見つかる

 

◆主体の見つけ方 

◇Step.1 外部からの手助け

外部からの手助けとは、具体的に言えば、「周囲の人々の存在や言葉」「自分に起こる出来事」などあらゆるものが含まれます。

例えば、「先生に〇〇と言われた」「友達と〇〇をした」「部活で怪我をした」「〇〇で災害が起こった」「〇〇に出会った」「〇〇が叶った」など人それぞれです。

自分に起こること全てを、主体に気づくキッカケとしていくということです。

 

◇Step.2 自問自答

しかし、外で様々なことが起こっても、必ずしも人は主体に気付くわけではありません。

自分で「主体=本当の自分に気づこうする意思」がなければ、主体は一向に見つかりません。

「自分自身に問う」行動が必ず必要です。

「なぜ私は先生に〇〇と言われて落ち込むのか」「なぜ友達と〇〇することがこれほど私は楽しいのか」「なぜ私は〇〇という言葉が心に引っかかるのか」「私は何が好きなのか?得意なのか?」「私が本当にやりたいことは何なのか?」「挑戦してみたいことは何なのか?」など、とにかく自分自身に問い続けることで、主体が見つかり易くなります。

 

主体を見つけるには、外部からの刺激を前向きに受け止め、そして自問自答をする習慣をつけることです。

これは、活躍する人ならば、大人になっても続く作業です。

若いうちから習慣化できると理想です。

 

 

自分を評価し大切にしているか

自分を知った後は、自分を認め、評価することが大切です。

「どうせ自分なんて」「自分には良い所があまりない」という考えは、本人の中に眠る、本人さえ気づかぬ能力を引き出す上で、大きな障害です。

しかし、このように自分をマイナス評価するに至った理由は、何年か掛けて積み重ねた経験にあるので、「大丈夫!自分に自信をもって!」と周囲が言っても、簡単に変わるものではありません。

自分を知った後は、自分を認め、評価する(自己承認)

 

◆【自己承認】自分を認め、評価するための2つの方法

◇方法1 周囲の人が本人の良さを数多く見つける

まずは、周囲の人が、本人の良さ(能力や魅力)を出来るだけ数多く認識し、機会があれば本人に伝えます。

ここで最も重要なのは、周囲の人が「本気」であることです。

本当にその人の能力や魅力を見つけ、高く評価し、その人を尊重し尊敬し、「なんて可能性に満ちた人なのだ」と心から思っていることです。

本気かどうかは、態度・ちょっとした言葉尻に現れますし、若者は周囲の人の些細な態度・言葉に敏感です。育成者本人が、自分自身のことを認め、評価していれば自然にできると思います。

 

◇方法2 本人が自分を小まめに振り返り、良い所へ目を向ける機会を定期的に作る

本人が定期的に自分を振り返り、自分の良い所を認識し続けることが大切です。それは、課題に目をつぶることではありません。良い所、改善が必要な所、全てをありのまま振り返り、自分だと認めることが大切です。

【自己承認シート】自分を認めて初めて他者承認力を得る【主体性の確立】

⇒「自己承認・主体性の確立」記事はこちらから

 

 

◆なぜ、自分を認め評価する必要があるのか

自分を認め、評価している人にとっては、仕事などを頑張る理由が、ストレートに「ビジョンのため=周囲や社会への貢献」になります

しかし、自分を自分で認め評価していない人は、頑張る理由が「自分の心に空いた穴を埋めるため」になり、これは「自己実現のために生きる段階を抜けていない」ということになります。

「心に空いた穴=認められていない不安」を埋めることは、生きるために必要な本能なので仕方ありませんが、折角の本人の能力が「自分の心の穴埋め」以上に活かされないより、多くの人への貢献に活かされた方が良いと思います。

だから、自分を認め評価することが大切なのです。

①主体 まとめ

  • 自己承認の不足は、心に穴が開いた状態
  • 頑張る理由が「穴埋め」になり、自己証明・自己防衛・自己実現になりやすい
  • 頑張りがストレートに「ビジョン=周囲や社会の幸せ実現のため」へ繋がるために自己承認が必要

 

自分の可能性を信じているか

主体を見つけ、自分を認め評価することが大切なのは、自分の可能性を信じるためです。

自分を信じて頑張る」とは、良く聞く言葉ですが、「主体を知り、自己承認した上で、自然と湧き出る信じる力を使って目の前のことに努力する」のと、「不安から目を背け、がむしゃらに自分を信じ、目の前のことに努力する」のでは、生み出す効果とその持続性にジワジワと差が生まれます。

 

主体的な姿勢と言動か

主体的な姿勢と言動とは、自分の意志・判断で行動しようとする姿勢と言動ですが、自分で自分のことを理解、評価し、大切にしている段階であれば、主体的でいるでしょう。

 

【育成者への質問】

※ご自分の現時点での「グローバル人材育成能力」を知りたい方は、全20の質問に答えてみてください

1.グローバル人材に必要な要素を、自分なりに理解していましたか?

2.あなた自身の「主体」は何で、何を価値とし生きているのか、自覚していますか?

3.あなた自身が主体を見つけたキッカケを人に語ることができますか?

4.経験した挫折や困難が今にどのように繋がっているか理解し、過去に感謝の思いはありますか?

5.あなたは、自分自身をありのまま認め、評価し、自分の可能性を信じていますか?

 

②ビジョン意識

◆ビジョン意識のテーマ

  • 目的意識
  • 使命感
  • 理想からの逆算行動

 

ビジョン意識は特に重要で、年を取っても育てていく要素です。

ここでは簡単に解説します。

 

◆ビジョンとは

こうなると良いな、という理想の情景です。

「Vision」なので、ありありとした情景・描写・画像・映像として胸に抱くものです。

 

◆ビジョンの質

「自己願望実現意識」「他者貢献意識」

  • 「出世したい」「お金持ちになりたい」「人から評価されたい」などの、自分が叶えたい目標・願望・欲望もビジョンです。
  • 「家族が幸せでいたい」「会社が業界トップになる」などの、自分と自分の周りの人々の幸せを願うのもビジョンです。
  • 「世の中が発展し、多くの人が安全と幸せを得て欲しい」「〇〇で苦しむ子供が社会からなくなってほしい」「いつか、世界の国同士が家族のような絆で結ばれてほしい」「地球環境が豊かになってほしい」などの、世の中・社会・他人の幸せを願うのもビジョンです。

 

いずれのビジョンも、当然ながら正解です。

 

しかし、グローバル人材になる人や、育成する人は、「自分ごとの幸せを叶えることが人生の目的である」段階を抜け、「自分の活動や存在は、世の中や他者への貢献のためにある」と自覚していることが不可欠です

 

他者の幸せを本気で願う人から、個人の幸せが遠のくことはありません。「評価されたい」「出世したい」などの個人の目標などは、放っておいても余力で叶います。

視点を上げることが、とても重要です。

 

◆ビジョン意識の段階

ビジョン意識には4段階あります。

  1. 【ビジョンを掲げる】言葉で掲げるだけに終わる段階
  2. 【ビジョンをもつ】 自分の仕事がビジョンに繋がっていると分かっている段階
  3. 【ビジョンを深める】”働く”と”ビジョン”の間が理想の情景で埋まっている段階
  4. 【ビジョンに徹する】意識も行動もビジョン実現からの逆算で適切に選択できている段階

 

 

 

グローバル人材は、ビジョンを視野広く抱くことと、ビジョンからの逆算で行動選択する人財です。

ここを踏まえていれば、揺らぎない目的意識のもと、溢れ出る使命感から、当然のように理想からの逆算行動を積み重ね、持続的に成果を挙げることができるでしょう。

②ビジョン意識 まとめ

  • ビジョンとは、「こうなると良いな」という理想の情景
  • ビジョンには種類があり、自分の欲望を叶えるものも、他者貢献意識から生まれるものがある。両方正しいが、グローバル人材は他者貢献意識を持っていることが大切
  • ビジョン意識には段階があり、グローバル人材を目指す場合は、ビジョンを「掲げて終わり(段階1)」ではなく、ビジョンイメージを「深める(段階3)」又は、ビジョンから逆算して行動を重ねる「徹する(段階4)」が良い

 

 

目的意識

ここまでを踏まえていれば(主体性・ビジョン意識)、ビジョンのために自分は働いていることが分かっており、そのビジョンも「言葉だけで掲げたもの」ではなく、「自分の中でイメージを深め続けているもの」なので、意識と行動が安定します

目的意識から生まれる安定感は、自分の仕事の質を高めるだけではなく、他者から信頼を得ることにも繋がります。

 

使命感

主体を知り、ビジョン意識が整っていれば、自分にしかできないことをしている自覚と、自分が適切に活かされているという自覚が生まれます。

使命感で仕事をしているこの状態は、楽しくてたまらず、最も成果を上げやすい状態に繋がります。

他者からの指示・命令・誘導によって出る成果とは比較にならない程の成果と持続性を可能にします。

使命感は、困難を困難と思わず、全ての経験を前向きに活かす成長サイクルに入るために必要なものです。

 

理想からの逆算行動

ビジョン意識が高まっていない場合は、現実を言い訳に理想を諦めることを当たり前として物事が進みますが、ビジョンに徹している段階では、理想からの逆算行動が当たり前になります。

それは、結果として、重荷を下ろし、矛盾や無駄のない資源の活用に繋がります

 

【育成者への質問】

6.あなたのビジョンには自分や身内以外の幸せが含まれていますか?(他者貢献意識)

7.あなたのビジョン意識は段階3「深める」又は段階4「徹する」ですか?

8.自分の存在意義と、今の仕事をしている理由を理解し、満足していますか?

9.現実を言い訳に理想を諦めるのではなく、理想を実現させやすい現実の調整を続けて来ましたか?

 

 

 

③多様性・ダイバーシティ

◆多様性・ダイバーシティのテーマ

  • 多様性・異文化・グローバルに対する認識
  • 異文化受容と理解
  • 自文化に対する理解

 

多様性・異文化・グローバルに対する認識

まず最初に、多様性・異文化とは外国人のことではなく、自分以外は全てが異文化・多様だということに気づくことが大切です。

 

 

また、多くの日本人が「グローバル」「グローバル化に対応」に対して抱いている誤解を理解することも大切です。

グローバル化に対応し、活躍するために大切なことは、世界の先進他国に目をやり、福祉・ビジネス・教育を真似、同水準を目指すことではなく、世界に負けない競争力をつけようと、知識とスキルをとにかくインプットすることでもありません。

強く豊かで広く安定した心を持ち、価値を創造することができる人々の集合体で、組織が、国が、成り立つことです。

そのような組織や国が、他国の見習うべきモノを取り入れ、選ばれるサービスを企画し、知識とスキルをインプットすることが大切です。

 

新しい価値を創っていくのが、グローバル人財です。

 

 

 

異文化受容と理解

異文化受容・理解とは、頑張って異文化を理解し受入れることでも、多くの異文化知識を得ることでもありません。

スムーズな異文化受容の仕組みを知り、自分の中に課題があれば丁寧に解きほぐし、いかなる異文化をもスムーズに好意的に受入れ、質の良いコミュニケーションを築いていくための土台を築くことです。

 

 

 

自文化に対する理解

いかなる多様性をも豊かな心で安定して受入れられる人には仕組みがあります。

揺るぎない「異文化受容力」は「自分の大切なものを自覚すること」から生まれるということです。

それはつまり、日本人ならば、日本のことを知り、自分なりの想いをもち、そして、それを他者に語ることができるということです。

 

日本人は、世界でも突出して自文化理解と自文化を語ることが苦手ですが、自文化を知らない・語れない人がグローバル環境で魅力的だと思われることは、まずありません。

 

しかし、日本は、大人が日本のことを自分の想いを持って語ることが苦手であり、また、「自文化を語れることの重要性」にも無関心な人が多いです。

これが日本の現実だと受入れ、これからを担うグローバル人材にとって必要なことを育成に活かせば良いと思います。

ただ、日本人は自文化を堂々と語る人が比較的少ないですが、全く問題ありません。日本人には、その他に素晴らしい魅力や能力が数え切れないほどありますから。

 

③多様性・ダイバーシティ まとめ

  • 自分以外は全てが異文化・多様だということに気づく
  • グローバル化に対応とは、他国の真似ではない
  • グローバル化に対応とは、豊かで広く安定した心を持ち、価値を創造することができる人々の集合体で、組織が、国が、成り立つこと
  • 新しい価値を創っていくのがグローバル人材
  • 揺るぎない「異文化受容力」は「自分の大切なものを自覚すること」から生まれる
  • 日本のことを知り、自分なりの想いをもち、それを他者に語ることができること
  • 日本人が自文化を堂々と語ることが苦手でも、慣れていけば良いだけ

 

 

【育成者への質問】

10.あなたは、自分以外の人を抵抗感なく受入れ、ありのまま認め受入れていますか?

11.「グローバル化」とは他国のやり方を学び真似ることではないと理解していますか?

12.あなたは、自分や日本のことを自分なりに理解し、思いをもって語ることができますか?

 

 

④協調性

◆協調性のテーマ

  • 成果が出る仕組みの理解
  • チームの力の理解
  • コミュニケーション(話す・聞く)

 

成果が出る仕組みの理解

協調性を、いきなり身につけさせようとすれば、元々協調性に自信が無い人にとってはストレスです。

しかし、協調性がどのような意味をもち、自分や仲間の成果にどのように影響するのかを最初に理解すれば、協調性を身につけることに対して、人は前向きになりやすいです。

 

協調性ある人々の集団は居心地の良い環境を作り、その環境によって自分や仲間は能力を発揮しやすくも、能力を高めやすくいもなり、それが成果を生みやすくする循環を生み、つまりそれは、ビジョンが叶いやすくなる=世の中や社会が理想に近づいていくことに繋がっています。

 

 

チームの力の理解

チームの力を引き出す・高める・使うことも、チームで成長する意識も、グローバル人材にとっては大切なことです。

 

しかし、必ずしも全員がチームの一員とは限りませんし、チームの一員でいたいとも限りません。

そこを踏まえた上で、チームにはどのような力があるのか、強く豊かなチームにはどのような要素が隠れているのか、そこでの自分の役割は何なのか、ということを理解することが大切です。

 

 

そして、チームには必ず色々なタイプがいて、やる気や元気がないように見える人もいます。

チーム創りはスムーズに進むものではありませんが、スムーズに進まない時が大切です。

異文化(=自分以外は皆が異文化)受容、他者を認め評価する前提で関わることが問われ、チーム創りの後押しにもなります。

 

 

そして、One Teamの意識をもつことが大切です。

元気な時期、閃くとき、成長速度が加速するとき、やる気スイッチが入るときなどは、人によって全く異なります。

成長が速ければ良い訳でも、なるべく多くの時間元気でいる人が偉い訳でもありません。人それぞれ違うだけのことです。

チームの中でそのとき元気な人が元気な働きをするなど、それぞれの働きをすることで、トータルでチームが成長していけば良いのです。

元気な人が疲れたとき、別の人の元気スイッチがONになることもあります。

このOne Teamの意識は、One Teamの意識で動く環境に身を置くことが効果的な習得方法ですが、現実は理想通りではないかもしれません。

しかし、理想通りにはいかない現実とセットで伝えていけば良いと思います。

 

 

コミュニケーション(話す・聞く)

グローバル人材のコミュニケーションと言えば、ディスカッション・ディベート・プレゼンテーション能力などを思い浮かべるかもしれませんが、それらは基本のコミュニケーションを身につけてからです。

基本のコミュニケーションは、「話す」「聞く」です。

 

 

仲間に自分の考えを発表する、仲間の発表を聞く、このような機会をなるべく作りましょう。

例えば、グローバル教育導入の最初の段階で、「話す」「聞く」際のポイントを伝え、教育期間を通して繰り返し機会を作りながら、ポイントを出来る範囲で繰り返し伝えましょう。

 

④協調性 まとめ

  • 成果が出る仕組み、協調性が及ぼす影響の理解
  • チームの力が成果へ与える効果の理解
  • One Teamの意識をもつ
  • まずは基本のコミュニケーション「話す」「聞く」の質を高める

 

 

【育成者への質問】

13.あなたは、協調性が何のために必要なのか理解していますか?

14.協調性・チームに所属することに抵抗を感じる人がいることを理解していますか?

15.今あなたが身を置く組織にとっての理想の状態が思いつきますか?

16.日頃、人の話を聞く際、相手の話しやすさを気遣ったり、話に興味を持って聞いていますか?

 

 

 

⑤精神性

◆精神性のテーマ

  • 感謝・尊重・承認・敬意
  • 思いやり
  • 成長サイクル
  • ビジョンの浸透
  • 安定

 

今回お伝えしている「グローバル人材の必須6大要素」が最新である理由が、「ビジョン意識の質」と「精神性」にあります。

今、世界中のあらゆる分野で「持続可能な発展」を実現する流れが加速していますが、実現していく人間自体が持続可能な発展をする力があるかどうかが益々問われていきます。

国の豊かさを表わす指標がGDP(国内総生産)からGDW(国内総充実)へ変化する中、本当のWell-beingな社会は、Well-beingな人間によってしか創られないでしょう。

そのような中、幸福度世界56位(2021年)の日本は、これまで培った高い能力・技術を更に活かし世の中へ貢献するためにも、日本人は内面の豊かさを育てていく時期にあると言えます。

 

「内面を育てる」と言えば、これまでは「主体性」「協調性」などがテーマになりがちでした。

しかし、主体性・協調性・多様性という「一見、内面性に見える要素」は、「心という地盤の中に根を張る根っこ」です。

根を大きく張るには、良質な土が必要です。それが、心です。

 

同じ会社で同じポジションの仕事をしていても、心を育てながら業務を10年重ねるか、心の成長は度外視して10年を費やすかは、人によって異なります。

心を育てるかどうかは、自由です。グローバル人材に必要な要素だからといって、無理強いはできません。

 

しかし、心の豊かさ=精神性が成果に与える影響は当然ありますし、時代と共に、影響は大きくなると予想されます。

精神性が大切だと充分理解し、心を育てる習慣をもち、自分の心が育つことを願ってくれている育成者に接しながら時を過ごすことは、将来のグローバル人財にとっては価値あることです。

 

では、心を育てる=精神性を高めるために意識したいポイントです。

 

感謝・尊重・承認・敬意

全ての人や環境に対して心からの感謝・承認・尊重・敬意を抱く心の豊かさは、心を育てる上では欠かせません。

そして、仕事などで成果を出し理想を実現させるためには、心を育てることは必須の手順になります。

 

 

思いやり

誰に対しても優しい気持ちで、相手や他人の事情を察し、思いやりある行動を取ることが大切です。

日本人の得意分野です。

見ず知らずの赤の他人に、万が一の感染リスクが及ばぬよう、息苦しいマスクに自ら順応し、着用を選ぶのが多くの日本人です。

自分の行動が、他者・社会・世界に、何かしらマイナスな影響を与えかねないならば、自分の行動を変えることでリスクをなくそうとする人が大勢います。

自分に利益があるか、我慢をするか、労力が必要か、そのような自分の都合だけを基準として行動選択する人が群を抜いて少ないです。それが、日本です。

 

成長サイクル

起こる全てのことを成長へ繋げるサイクルに突入するために、自問自答で答えを出していく習慣をつけることが、グローバル人材には必要です。

◆成長サイクルに入る方法

◇Step1:湧き上がったマイナス感情全てを書き出す

努力の過程で湧き上がるマイナス感情(例えば、悔しさ、ムカつき、不甲斐なさ、自己嫌悪、嫉妬など・・・)や、現れた困難を書き出します。

 

◇Step2:マイナス感情の理由に潜む「真の理由」を自分の中に見出す。

なぜ自分はそのように(マイナス感情)思うのか、その感情に潜む真の理由を、自問自答で探し当てます。

なぜ困難(ミスや挫折、人との衝突など)は起こったのか、その理由を自分の中に見出します。

この時のポイントは、成長を止める「他責=人のせい・環境のせい」は避けることです。

 

 

ビジョンの浸透

ビジョンの浸透は、ビジョン意識を深めることと同じですが、自分の存在意義をより深く自分に落とし込むことは、精神性を高める上では重要な作業です。

 

安定

普通、人は感情が乱れるものですが、これからの時代をより良い基準で回していく力のある真のグローバル人材は、感情が安定しています。

◆感情が乱れる理由と「安定」を手に入れる方法

◇人の感情が乱れるとき

  • 相手の行為や起った事象をありのまま受入れていないとき
  • 自分の思い通りに事が進まないとき
  • 自分の欲が満たされないとき(承認欲求/優位に立ちたい欲/自己証明欲など)

 

◇感情が乱れない人の内面特徴

  • 相手の考えや存在を、ありのまま尊重し受入れている
  • 過去起った事象に抗わず、進化だけを見据えている
  • 自分の存在価値を、自分が一番理解している
  • 結果、思い通りに事が進まないことや、反対意見を言う存在は、何らマイナスにも見えない

 

◇感情が乱れなくなる方法

  • 関わる人全員の能力や魅力が最大限発揮される状態を理想とし、その状態を創り出すことに徹する
  • その状態を創り出す上で、自分の感情的な言動がプラスに働くことがないと分かれば、感情で動かない自分を創る
  • 「感情のコントロール」と「マイナス感情が生まれる根本原因の究明と解決」のどちらが持続的効果に繋がるか分かれば、自分の根本成長に繋がる後者に、とことん向き合う

 

 

⑤精神性 まとめ

  • 「持続可能な発展」を実現する人自体の持続可能な発展性が益々問われていく
  • Well-beingな社会は、Well-beingな人間によってしか創られない
  • 日本人は内面の豊かさを育てていく時期にある
  • 主体性・協調性など「一見、内面性に見える要素」は、「心という地盤の中に根を張る根っこ」
  • 根を大きく張るには、良質な土が必要。それが、心=精神性。
  • 精神性の成長は個人の意思に任せる
  • 精神性豊かな人との接点が宝になる

 

 

【育成者への質問】

17.出来る限り全ての人や環境に対して心からの感謝・承認・尊重・敬意を抱いていますか?

18.物事がうまく行かない時、自分の中に原因を見出す習慣が身についていますか?

19.あなたは、感情が安定しているほうですか?

 

 

6大要素の最後が、知識・スキルです。

 

⑥知識・スキル

  • 語学力
  • 専門知識
  • マナー
  • リーダーシップ
  • PDCA

 

ここで挙げる要素は最低限必要なものですし、専門家によって異なる要素を挙げます。

 

どのような能力や知識が必要なのかは、本人が判断し習得していくものであり、それをスムーズに進めるために、6大要素の1~5の要素が大切です。

 

また、要素1~5までを踏まえていれば、知識やスキルを習得する上でのモチベーションが高まり、得た知識やスキルも存分に活かされます。

 

語学力

当然、語学力は大切です。

語学力を身につける上で、最初に語学教師含む指導関係者が確認した方が良いことがあります。

◆語学教師・指導関係者が確認すること

  • 語学力が実際の仕事でどのように成果に影響しているのかを確認
  • ビジネスにおける英語の位置づけ
  • 語学習得の目的、目標
  • 語学力を活用する環境作りで大切なポイントを組織内で共有
  • 語学を教える先生の「語学を教える目的意識=ビジョン」

 

語学習得は地道な作業ですが、努力すれば必ず能力は伸びますし、伸びれば伸びるほど楽しくもなります。

 

私の場合は、元々英語の基礎力はありましたが、仕事をする上で大切だと痛感した要素は以下の通りです。

  • 実践的な英語の語彙・イディオム量・表現
  • 聞き取る力(リスニング・質問力)
  • スピード感あるアウトプットと言い換え力

 

具体的な学習方法などは、以下の記事で紹介しています。

 

専門知識

知識も当然重要です。活かすべき知識があっての、内面です。

専門分野が決まっていれば、その分野のプロ・第一人者になるつもりで働いている意識が大切です。

社会に出る前の人材であれば、プロ意識をもって働いている人との関わりが宝になります。

 

マナー

グローバル人材にとってのマナーと言えば、相手の文化を理解した振舞いなどと思われがちで、それも理解しておいて間違いありません。

しかし、世界航空機関格付け調査Skytraxにて日本で唯一5つ星を獲得しているANAで、品質調査便の責任者を任された私の経験からすると、もっと深く、確かなマナーは、相手の立場を想像し振る舞う心の習慣です。

相手を思い動く習慣がない状態で、相手の文化を理解し振る舞っても、相手との心の交流は生まれません。

ここを踏まえた上で、異文化情報を知り、日本人としての特徴を失うことなく、自分なりの良いマナーを創っていけば良いです。

 

リーダーシップ

リーダーシップと言えば、仕事の進捗を把握し、効率的に指示を出し、メンバーの能力を引き出しながら、チームを成果へと導く力、のように思われているでしょう。

そのようなタイプの人がリーダーとして時代を築いてくれ、その上に私たちは生きているので、感謝です。

 

しかし、実際、リーダーには様々な形があります

日本人にとっての「リーダーらしさ」が、世界中に当てはまる訳ではありませんし、いわゆる「リーダーらしさ」をあまり持ち合わせていない人が、実はチームを持続可能な発展へ静かに促していた、ということも多々あります。

 

「リーダーらしさ」に囚われることなく、以下のような状態を創ることに長けている人がリーダーなのではないでしょうか。

  • メンバーが、自分の能力や可能性を信じ、ビジョンへ向かって働いている
  • チーム全体が同じビジョンを共有し、足並みが揃っている
  • メンバーが、自分の能力や魅力を最大限活かしている
  • チームが成長している
  • チームに感謝・思いやり・尊重・敬意・自由・活気が溢れている
  • チームに行き交う会話は、ビジョンと実現方法という未来志向の話題である

 

最後に、PDCAです。

PDCA

手法などは何でも良いのですが、PDCAのような振り返りと挑戦を日々の習慣にしていることが大切です。

これは、自分を成長サイクルにはめる助けになります。

 

私が定期的に関わらせて頂いている高校生たちは、PDCAを自分たちの習慣にすることで、勉強も部活も成績が伸び、努力の質も変わったと言っています。

彼らはまだ、勉強と部活に夢中の高校生で、働いた経験も、外国人とのコミュニケーション経験も豊富ではありませんが、グローバル人材としての基盤を着実に築きながら高校生活を送っていると思います。

 

⑥知識・スキル まとめ

  • 必要な知識・スキルは自己判断が基本
  • 語学力:語学教師含む指導関係者の意識が重要&非ネイティブも想定したリスニング力・説明力・質問力・語彙力・イディオム量・瞬発力・自然な表現・状況に合わせた表現
  • 専門知識:その分野のプロ・第一人者になるつもりで働いている意識が大切
  • マナー:確かなマナーは相手の立場を想像し振る舞う心の習慣&異文化情報を知り、日本人としての特徴を失うことなく、自分なりの良いマナーを創っていけば良い
  • リーダーシップ:リーダーらしさは人それぞれ&出したい結果を意識したリーダー教育が大切
  • PDCA:手法は問わず、振り返りと挑戦を日々の習慣にしていることが大切

 

 

【育成者への質問】

20.あなたは、自分はこの分野のプロだと思い、又はプロになるために仕事をしていますか?

 

 

これで、6大要素の解説を終わります。

【グローバル人材に必要な要素 一覧表】PDFはこちらから

 

最後に、あなたの現時点での「グローバル人材の育成能力」を診断してみましょう。

【診断結果】あなたのグローバル人材育成能力は?

あなたのグローバル人財育成能力は?

本記事の随所に現れた【育成者への質問】の答えに、Yesは合計いくつありましたか?

質問を振り返ります。

 No.質問
定義1グローバル人材に必要な要素を、自分なりに理解していましたか?
主体性2あなた自身の「主体」は何で、何を価値とし生きているのか、自覚していますか?
3あなた自身が主体を見つけたキッカケを人に語ることができますか?
4あなたが経験した挫折や困難が今にどのように繋がっているか理解し過去に感謝の思いはありますか?
5あなたは、自分自身をありのまま認め、評価し、自分の可能性を信じていますか?
ビジョン6あなたのビジョンには自分や身内以外の幸せが含まれていますか?
7あなたのビジョン意識は段階3「深める」又は段階4「徹する」ですか?
8あなたは、自分の存在意義と、今の仕事をしている理由を理解し、満足していますか?
9あなたは、現実を理由に理想を諦めるより、理想を実現させやすい現実の調整を続けて来ましたか?
多様性10あなたは、自分以外の人を抵抗感なく受入れ、ありのまま認め受入れていますか?
11「グローバル化」とは、先進他国のやり方を学び真似ることではないと理解していますか?
12あなたは、自分のこと、日本のことを自分なりに理解し、思いをもって語ることができますか?
協調性13あなたは、協調性が何のために必要なのか理解していますか?
14あなたは、協調性・チームに所属することに抵抗を感じる人がいることを理解していますか?
15あなたは、今あなたが身を置く組織にとっての理想の状態が思いつきますか?
16あなたは、日頃、人の話を聞く際、相手の話しやすさを気遣ったり、話に興味を持って聞いていますか?
精神性17出来る限り全ての人や環境に対して心からの感謝・承認・尊重・敬意を抱いていますか?
18あなたは、物事がうまく行かない時、自分の中に原因を見出す習慣が身についていますか?
19あなたは、感情が安定しているほうですか?
20あなたは、自分はこの分野のプロだと思い、又は、プロになるために仕事をしていますか?

 

 

Yesの数を元に、現時点での、あなたのグローバル人財育成能力を知る目安として、以下をご覧ください。

18~20【あなたと関わることでグローバル人材は自然と生まれています】

  • 組織内にてグローバル人材教育のリーダーを担いましょう
  • ビジョン意識・ビジョンからの逆算行動の精度を上げていきましょう
  • あなたの組織にとっての多様性の活用イメージを深めましょう
15~17【成長意欲の高いあなたの姿勢は将来のグローバル人材に良い影響を与えています】

  • Noが多かった項目を振り返り自己成長へ繋げながら、リーダーの補佐をしましょう
  • 多様性の受入れが充分か、念のため、丁寧に自己分析してみましょう
  • 精神性の成長に繋がる行動を続けながら、新たな習慣も何か積み重ねてみましょう
10~16【ビジョン意識を深めることで安定していきます】

  • Noが多かったテーマを振り返り成長へ繋げましょう
  • ビジョンが絵に描いた餅で終わっていないか振り返り、ビジョンに対して明確な理想イメージが湧き上がるかどうか、静かに考えてみましょう
  • 自問自答の習慣を作り、他責をなるべく避け、マイナス思考や感情を今より減らしていきましょう
0~10【今ある幸福と自分の良い所に意識を向け、眠っているかもしれない主体を起こしてみましょう】

  • 抱えている重荷に手放せるものがないか、焦らず、ゆっくり考えてみましょう
  • 可能であれば主体やビジョンについて考える時間を作り、自分を認め評価する地点まで進みましょう
  • ご自身の能力や魅力を正しく認識するため、自己分析や、周囲の人に自分に対する印象等を聞くなどしてみましょう

 

YouTube「時代を創る若者を育てる5つのポイント」

 

育成者のための意識確認シート

【育成者のための意識確認シート】PDFはこちらから

 

グローバル人材教育

◆中学生~大学生向け

「【中学生~大学生】グローバル人材基盤形成教育」はこちらから

 

◆社会人対象向け

「【社会人対象】グローバル人材基盤形成教育」はこちらから

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